仏テロ連鎖:スーパーにも突入 容疑者射殺、人質4人死亡
毎日新聞 2015年01月10日 11時50分(最終更新 01月10日 12時20分)
【パリ宮川裕章、斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件で、仏憲兵隊特殊部隊(GIGN)は9日午後5時(日本時間10日午前1時)ごろ、パリ北東約40キロのダマルタンアンゴエルでサイド・クアシ容疑者(34)とシェリフ・クアシ容疑者(32)の兄弟が立てこもった印刷所に突入し、2人を射殺した。また仏警察所属の特殊部隊(RAID)はほぼ同時間帯に、パリ東部ポルトドバンセンヌで、アメディ・クリバリ容疑者(32)が約15人の人質を取って立てこもったスーパーに突入、クリバリ容疑者を射殺した。人質のうち4人の死亡が確認された。
クリバリ容疑者の立てこもり現場となったユダヤ教徒向けのスーパーでは特殊部隊突入後、複数の人質が建物の出入り口から脱出した。クリバリ容疑者と人質4人の死亡が確認され、4人が重傷を負った。検察当局は「突入時の死亡者はいなかった。4人が死亡したのは立てこもり開始時だろう」と述べた。クリバリ容疑者がスーパーの人質を全員殺害すると脅したため、突入に踏み切ったという。
警察はパリ南郊モンルージュで8日に女性警官が射殺された事件の容疑者としてクリバリ容疑者を指名手配していた。遺体とモンルージュで遺留された覆面から検出されたDNAが一致した。クリバリ容疑者は午後3時ごろ、仏テレビ局BFMTVの電話取材に応じ、「クアシ兄弟に同調した。彼らはシャルリーエブドを行い、私は警官(の襲撃)を行った」と語った。
仏メディアによると、クリバリ容疑者とシェリフ・クアシ容疑者は知り合いで、2010年、仏東部の刑務所からアルジェリア人の過激派の男を脱獄させる計画を立てたとして、ともに捜査当局に拘束された。クリバリ容疑者は禁錮刑の有罪判決を受け、2カ月前まで服役していた。
事件を受け、イエメンの国際テロ組織アルカイダ系団体「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)は9日、AP通信に対し、シャルリーエブド襲撃事件の犯行声明を出した。「預言者を冒とくしたことに対する復讐(ふくしゅう)」と主張し、「犯行を準備し、周到に標的を選んだ」としている。また同組織は同日、フランスに対する次の攻撃を予告するビデオメッセージを出した。