仏テロ連鎖:救出立役者はSMS 印刷所から逐次情報提供
毎日新聞 2015年01月10日 12時05分(最終更新 01月10日 12時15分)
【パリ宮川裕章】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件で、容疑者のクアシ兄弟が立てこもったパリ北東ダマルタンアンゴエルの印刷所で、逃げ遅れた男性が建物内に隠れ、携帯端末を使って特殊部隊に情報提供し続けたことが、突入作戦成功につながった。仏検察当局が9日、明らかにした。
検察当局と仏フィガロ紙などによると、印刷所従業員のリリアンさん(27)は9日朝、クアシ兄弟が建物内に押し入った時、2階にいた。家族に「屋内に隠れている。警察を呼んでくれ」と助けを求めるSMS(ショートメッセージサービス)を送信。その後、3階に移動し、流し台の下に身を隠した。入れ違うかたちで兄弟は2階に上り、発見を免れた。リリアンさんは2容疑者が死亡し、解放される夕方まで約7時間、携帯端末で建物内の構造や2人の行動などを逐一報告した。
一方、AFP通信などによると、パリ東部のスーパーでの立てこもり事件では、アメディ・クリバリ容疑者(32)は親族との通話で店内の電話を使用した後、受話器を完全に置かなかったため、店内の会話が当局に筒抜けになった。電話から伝わる音から、クリバリ容疑者が店内で祈りを始めるためひざまずき、周囲への警戒が緩んだ瞬間を狙い、特殊部隊が突入したという。