仏テロ連鎖:アルカイダ系団体AQAPが関与認める声明
毎日新聞 2015年01月10日 13時12分(最終更新 01月10日 13時24分)
警察はパリ南郊モンルージュで8日に女性警官が射殺された事件の容疑者としてクリバリ容疑者を指名手配していた。クリバリ容疑者は9日午後3時ごろ、BFMTVの電話取材に応じ、「クアシ兄弟に同調した。彼らはシャルリーエブドを、私は警官(の襲撃)を行った」と語った。
仏メディアによると、クリバリ容疑者とシェリフ・クアシ容疑者は知り合いで、2010年、仏東部の刑務所からアルジェリア人の過激派の男を脱獄させる計画を立てたとして拘束された。クリバリ容疑者は禁錮刑の有罪判決を受け、2カ月前まで服役していた。
AQAPは9日、AP通信に対し、シャルリーエブド襲撃事件の犯行声明を出した。「預言者を冒とくしたことに対する復讐(ふくしゅう)」と主張し、「犯行を準備し、周到に標的を選んだ」としている。また、フランスに対する次の攻撃を予告するビデオメッセージを出した。
仏検察当局によると、印刷所からは、クアシ容疑者兄弟が所持していたM82ロケットランチャー、発煙弾10発、自動小銃2丁、拳銃2丁が見つかった。また、クリバリ容疑者が立てこもったスーパーからは、トカレフ拳銃2丁、自動小銃2丁、弾倉ベスト、起爆装置付き爆発物が発見された。
捜査当局は一連の事件に関連性があるとみて調べ、クリバリ容疑者のパートナー(26)も事件に関与したとして行方を追っている。
◇アラビア半島のアルカイダ(AQAP)
中東イエメンを拠点に国際テロ組織「アルカイダ」に同調する過激派組織。旧ソ連による1979年のアフガニスタン侵攻時に、イエメンから参加した義勇兵の一部が母体となった。義勇兵らは帰国後、反政府活動を展開。2009年にサウジアラビアのアルカイダ構成員と合流し、AQAPを設立した。戦闘員は1000人規模。09年12月の米航空機爆破未遂事件や、10年10月の英大使館幹部襲撃事件などに関与した。アルカイダから分派した中東の過激派組織「イスラム国」には批判的な立場を取る。