仏テロ連鎖:アルカイダ系団体AQAPが関与認める声明

毎日新聞 2015年01月10日 13時12分(最終更新 01月10日 13時24分)

立てこもり現場付近の建物屋上に配置される特殊部隊の隊員=パリ近郊ダマルタンアンゴエルで2015年1月9日、AP
立てこもり現場付近の建物屋上に配置される特殊部隊の隊員=パリ近郊ダマルタンアンゴエルで2015年1月9日、AP

 ◇立てこもり2カ所に同時突入で3容疑者射殺

 【パリ宮川裕章、斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件で、仏憲兵隊の特殊部隊は9日午後5時(日本時間10日午前1時)ごろ、パリ北東約40キロのダマルタンアンゴエルでサイド・クアシ容疑者(34)とシェリフ・クアシ容疑者(32)の兄弟が立てこもった印刷所に突入し、2人を射殺した。また仏警察所属の特殊部隊はほぼ同時間帯に、パリ東部ポルトドバンセンヌで、アメディ・クリバリ容疑者(32)が約15人の人質を取って立てこもったスーパーに突入、クリバリ容疑者を射殺した。人質のうち4人の死亡が確認された。襲撃事件は3日目で終結したが、国際テロ組織アルカイダ系団体「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)が関与を認める声明を発表し、背後関係の解明が今後の焦点となる。

 オランド仏大統領は特殊部隊突入後にテレビ演説し、「脅威は去っておらず、常に警戒が必要だ。団結してほしい。それが我々の一番の武器だ」と語った。また「事件は狂信者による犯行で、イスラム教とは何の関係もない」と述べ、事件を宗教対立に結びつけないように呼びかけた。

 仏メディアによると、9日午後5時ごろ、印刷所正面の扉が開き、兄弟が外に出て自動小銃で銃撃を始め、特殊部隊が応戦。銃撃戦の末、兄弟を射殺した。

 検察当局の発表によると、印刷所長が9日午前に一時人質に取られたが、直後に兄弟から解放された。印刷所には別の所員もいたが、隠れていて無事だった。

 シェリフ容疑者は同日午前、仏テレビ局BFMTVの電話取材に「我々は預言者の守護者だ」と述べ、AQAP幹部の財政支援を受けていたことを明かした。

 一方、クリバリ容疑者の立てこもり現場となったユダヤ教徒向けのスーパーでは特殊部隊突入後、複数の人質が建物の出入り口から脱出した。クリバリ容疑者と人質4人の死亡が確認され、4人が重傷を負った。検察当局は「突入時の死亡者はいなかった。4人が死亡したのは立てこもり開始時だろう」と述べた。クリバリ容疑者が人質を全員殺害すると脅したため、突入に踏み切ったという。

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