仏連続テロ:11年夏 容疑者兄弟がイエメンで銃の訓練

毎日新聞 2015年01月12日 23時26分

 仏週刊紙「シャルリーエブド」襲撃事件で、兄のサイド・クアシ容疑者(34)と共に記者ら12人を殺害したシェリフ・クアシ容疑者(32)が2011年夏、兄のサイド容疑者と共にイエメンに渡航し、国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)のアウラキ元幹部=11年9月に米国の無人機攻撃で死亡=と接触し、銃の使用方法などの訓練を受けていたことが12日分かった。ロイター通信がイエメン当局者の話として伝えた。シェリフ容疑者は事件当時、仏テレビ局に「イエメンのアルカイダから派遣された」と述べていた。

 また、米CNNはシェリフ容疑者が昨年8月、シリアに渡航し、帰国したことを示唆する記録があると報じた。シリアではアルカイダ系の別の過激派組織が活動しており、接触した可能性がある。

 兄弟はパリでアルジェリア系移民の家に生まれたが、幼い頃に両親と死別し、仏西部レンヌの孤児院で育てられた。シェリフ容疑者は01年ごろにパリに再び転居し、ピザの配達などで生計を立てた。その頃、パリ北東部に拠点を置くイスラム過激派「ショーモンの丘」に加入し、過激派思想に染まったとみられる。

 仏当局は05年、イラク駐留米軍部隊への攻撃を狙い、シリアに戦闘員を送ろうとしていた同組織を摘発し、シェリフ容疑者らメンバー数人を逮捕。組織は壊滅したとされていたが、シェリフ容疑者らは裏で活動を続けていたとみられる。【三木幸治】

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