今日の夕方、関西の友人の家で久しぶりにテレビを見たのだが、そこでやっていた東野が司会の関西テレビの番組の大阪vs東京っていう企画がオイオイと言いたくなるものだった。
企画の内容は大阪と東京をさまざまな面から比較して、地元大阪をヨイショするという目的の番組だ。よく言われている、大阪人の味覚は薄味で繊細で東京人は辛くて味の濃いものが好きだとか、大阪人は派手好きで東京人は落ち着いたものが好きとか、そういうステレオタイプなイメージ像を、偏ったアンケート結果とインタビューで大げさに伝えるっていう感じの内容だった。
例えば、大阪と東京で飼っている犬の種類は?というアンケートでは、大阪のどこか(普通の住宅地。見逃しただけかも)と、東京の世田谷区で街頭インタビューをして、大阪はチワワやトイプードルなど普通の人気種が多いのに対して、東京はマイナーで高価な犬種が多かった!東京の方が飼ってる犬に関してはオシャレ!とかやってた。
そりゃあ世田谷の高級住宅街でアンケートとりゃそうなるだろと。大阪だって帝塚山とかでアンケートとれば同じ結果になるだろう。
他にも大阪人が好きなコンビニおにぎりの具は昆布やかつおで、東京人はシーチキンやエビマヨだとか、何人にアンケートとったかもわからんいい加減なアンケート結果で決めつけたり、大阪のおばちゃんが「東京行ったらひどい店あるけど、大阪なら安くてしょぼい店でも美味しい、東京の人もそう言う。大阪人の方がグルメ」みたいに言う街頭インタビュー映像を流して大阪をヨイショしたりと、まあアレな内容だったのだが何より一番酷かったのは最後の企画。
番組のクライマックスで力の入った企画だったのだが、内容は「大阪人と東京人でどっちが人情があるか?」というもの。
その調べ方は、関西テレビのスタッフがシャツのボタンをかけ違えたまま偽の街頭インタビューをして、5時間で何人がそのボタンのかけ違いを指摘してくれるか?というもの。
で、その街頭インタビュー場所が、大阪は難波の下町っぽいアーケード街で、東京は雨の表参道。しかも、インタビュー対象は大阪はイカニモな下町のおばちゃん・おばあちゃんが主なのに対し東京は表参道を歩くおしゃれな若者。
で、大阪人はインタビューに答えてくれる人がほとんどだったが、東京人はそもそもインタビューにも答えてくれない!みたいな流れで、結局大阪は24人が指摘してくれたのに対し東京は4人しか指摘してくれなかった!やっぱり大阪人は人情では東京に負けない!みたいなVTRだった。
まず、インタビュー場所・対象が偏りすぎてる。東京に合わせるなら大阪を心斎橋のおしゃれな若者にするべきだし、大阪に合わせるなら東京を巣鴨あたりのおばちゃんにすべきだ。また、大阪と東京では関西テレビの知名度が段違いだと言うこと。東京の人はローカルな関西テレビにほとんど馴染みがないし、わざわざ雨の中インタビューに答えようと思う人は少なくて当然だ。それに、表参道は詐欺まがいの芸能スカウトやら宗教やらの怪しい勧誘が多いので、道行く人の警戒心は強い。一方、難波のアーケード街で関西テレビの人気番組がインタビューをするとなったら、そりゃあ皆喜んで答えてくれるだろう。
そして、番組中でも言っているようにそもそもサンプル数に差がある。何人中の何人なのかもわからずじまいだ。
まあそんな感じで、一応スタジオでも島崎和歌子が「東京でも下町で聞けば結果は違う」とつっこんでいたが流され気味で、大阪を人情の街とヨイショしつつ東京では言わないのも人情なのかもしれないと一応フォローするというアレな結論だった。
で、この番組を見て思ったこと。この手のステレオタイプな大阪のイメージって全国ネットの番組でやったりしてて、それを地元大阪の人は良く思っていないっていう話を結構聞いたことがあったんだけど、その地元大阪のテレビも同じことしてるじゃん。そういうステレオタイプなイメージ像を自らのアイデンティティとして受け入れている人たちって結構いるってことだろうか。
なんだろう、最近の日本万歳な番組もそうだけど、こういう自分たちを自分たちで偏見の眼差しで決め付けて喜ぶ心性ってなんだかなーと思った。