きょうは成人の日だ。今年の元旦を20歳で迎えた新成人は126万人。第2次ベビーブーマーが親世代にあたるため、前年より5万人増えた。とはいえ、団塊世代が新成人だった1970年に比べれば、ほぼ半減している。
新成人を含む若年層は今の日本では少数派だ。政治でも職場でも地域でも、その声は広く届きにくい。しかし、若者が生き生きしていない社会に明るい未来はない。年長者は若い世代の良さを引き出し、伸ばす責任を負っている。
気になる数字がある。内閣府が2013年、欧米5カ国と韓国、日本に住む13歳から29歳までの若者の意識を調べた結果だ。自分には長所があるか。40歳になったら幸せになっているか。自分の参加で社会は変わるか。こうした質問に対し、日本の若者だけ肯定する人の割合が大きく下がるのだ。
最近の若者は親との価値観の差が昔の親子に比べ小さい。インターネットを通じた交流で、中学や高校までの友人関係が、大学生や社会人になっても日常的に続く傾向がある。これが進学や就職での地元志向にもつながっている。
家族や友人、地元を大事に思う気持ちはすばらしい。ただし先の調査によれば、友人関係に安心感を覚え、家庭生活に満足している割合でも、日本の若者は他の6カ国を大きく下回り、最下位だ。
諸外国の若者に比べて自信に欠け、人生や社会に悲観的で、一見仲のいい友人・親子関係にも安心し切れない。そんな若者像が浮かび上がる。こうした自画像や未来図を若者が抱く原因を、大人たちは真剣に考えるべきだ。
内閣府の分析によれば、学校や地域社会で「自分が役に立つ存在である」と実感できた若者は自分に自信を持てる傾向がある。そうした機会を積極的に用意したい。
また若者事情に詳しい評論家の牛窪恵氏によれば「親が心配するから」海外旅行や留学、上京を断念する例も多いという。子の可能性の芽を摘まぬようにしたい。
年長者の多くが経験した通り、進学や就職は、古くからの人間関係をいったん断ち、人生の新しい可能性を見つける好機でもある。少しお節介なようでも、大学教員など周囲の大人は、若者が新しい世界に飛び込み、人間関係を結ぶ手助けをしてもいいだろう。
若い人が自信を持ち、それぞれの良さを発揮できる。そのための舞台づくりは大人の役回りだ。