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 オーストリアの検察当局は11日、シリアとイラクで勢力を広げる過激派組織「イスラム国」に参加しようとしたとして、16歳と17歳の少女2人を拘束したと発表した。トルコ経由でシリアを目指していたといい、ルーマニア国内の列車の中で拘束された。

 検察によると、2人は現地でイスラム国の戦闘員の妻になるつもりだった。オーストリアの人口は850万人だが、当局はすでに150~170人の若者がシリア、イラクに向かったとみる。多くはバルカン半島のボスニア・ヘルツェゴビナなど周辺地域から紛争を逃れた難民、移民の2世、3世ら「国内育ち」とされ、2人の家族もそれぞれボスニア、ロシア南部チェチェンの出身だった。

 昨年にはボスニア難民を両親に持つ15歳と17歳の少女がイスラム国に加わり、戦闘員の妻となった映像がソーシャルメディアを通じて出回った。イスラム国の欧州での戦闘員勧誘に、少女たちの欧州的な容姿が利用されたと見られる。

 オーストリア政府は昨秋、子供たちの過激化に悩む家族のための相談窓口を設置。ルーマニアで拘束された2人は失踪後に家族が当局に携帯電話を渡し、残されたチャットの記録から行動が把握されたという。(ウィーン=喜田尚)