キューバ:米国要求の政治犯53人全員を釈放

毎日新聞 2015年01月12日 23時36分

 【サンパウロ朴鐘珠】ロイター通信によると、キューバ政府は12日までに、米政府から釈放を求められていた政治犯53人全員の釈放を完了した。53人の素性は明かされていないが、反政府活動を理由に収監されていたとみられる。米国はキューバとの国交正常化交渉を始める条件として、53人を釈放する約束をキューバから取り付けていた。キューバ側が応じたことで、関係改善に向けた動きがまた一歩前進した。

 両国政府高官は今月21、22日、移民問題に関する定期協議をハバナで開く。米側からはジェイコブソン国務次官補が出席。国交正常化に向けた大使館の再開やビザ(査証)発行手続きなどに関する協議も本格化する予定だ。しかし、米側が求めていた政治犯の釈放についてはキューバ政府から進ちょくが明かされず、協議に向けた地ならしが整うか不安視されていた。ロイターは米政府筋の情報として、在ハバナ米利益代表部が53人全員の釈放を確認したと伝えた。

 米政府は今後、53人の氏名を議会に報告、公開する予定。ただしキューバ国内には依然として多数の政治犯が服役しており、米側は引き続き釈放を要求していくという。今回優先的に釈放された53人は、キューバ国内の反政府運動団体や人権活動家から寄せられた情報をもとに米政府が人選。反政府運動を平和的に行っていたにもかかわらず拘束されたとして、特に問題視されていたという。

 53人とは別に、両国はスパイ容疑で服役していた米側2人、キューバ側3人の釈放・交換を終えている。

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