信長とお濃が使っている居室には、それぞれ趣の違う二間があります。1つは板に赤漆を塗った(セットではアクリル板を使用)洋間と、畳敷きの和室です。コンセプトは広間と同じく“魔王の宮殿”。色彩も赤・黒・金で統一されています。
「信長の趣味の部屋ともいえる“赤の部屋”は、床の間があり、建具も和のものですが、それを洋風にしています。広間と同じ赤漆の板にカーペットを敷いて、椅子やテーブルといった洋のインテリアを持ち込んでいます。つまり、和洋折衷ですね。
信長の背景(床の間の壁面)には、鷹(たか)の絵が飾られています。これは、以前、岐阜城にもあったもので、信長の背景にはいつも鷹をモチーフにしたものを飾っています。
そして、床の間は本来の使い方ではなく、信長のコレクションをディスプレイする空間として使っています。主に武器コレクションで、大きな花器には名刀がまるで生け花のようにさされています。官兵衛に与えた刀もきっとこの中の一振り。たくさんあるので、一振りくらい与えても気にならない(笑)。信長は気に入った男には刀を与えるというのが裏設定です。
また、和室には髑髏(しゃれこうべ)と鏡が置かれた祭壇のようなものがありますが、神をまつっているのではないと思います。信長は自分自身が神を超えた存在と思っている。ここからはぼくの想像の世界ですが、奥にある鏡に自分を映し自分自身を拝んでいるのではないでしょうか。
また、信長の前衛的でパンクなセンスの空間だけだとお濃さんも落ち着かないと思うので、畳のある和室も作りました(笑)。
茶室については、普通の座敷を使った戦国大名の茶の湯を再現しています。ドラマではこの先、利休の“わび・さび”の世界が出てくるはずなので、信長の屋敷ではあえて派手な茶室とし、利休の世界観との対比をねらっています」