樋渡氏「私の力不足」 改革派、夢絶たれる
2015年01月12日 10時29分
「改革派首長」の次なる挑戦が絶たれた。樋渡啓祐さん(45)の事務所に「山口氏当確」の報が入ると一瞬にして静まり返り、重苦しい雰囲気になった。武雄市長時のユニークな政策で抜群の知名度があったものの、県農政協議会を中心とした強大な組織力に立ちふさがれてあと一歩届かなかった。樋渡さんは「私の力不足が今回の結果を招き、申し訳ありません」と深々と頭を下げた。
事務所では県連会長の福岡資麿参院議員や古川康衆院議員ら4人の国会議員も並んで、支持者を前に頭を下げた。福岡会長は「私たちの力が及ばず、責任の重さを受け止めている」と苦渋の表情を見せた。
教育改革を武雄市で進める樋渡さんは「投げ出し」の批判覚悟で市長辞職と知事選挑戦を決断した。自民党の推薦を受けたものの、保守分裂が起こり、自民の有力団体の県農政協が元総務官僚の候補を応援する事態に。党本部も乗り出して官房長官や幹事長らが続々と応援に駆け付けるなど国政選挙並みの態勢がとられた。一方で党本部の露骨な介入に反発も強まり、相手陣営の結束を誘引した。
前知事の古川衆院議員との運動で「後継者」をアピールし、民間と連携した改革の実績や即戦力も示して訴えたものの、相手候補の猛追を止められなかった。武雄市を全国区の知名度に押し上げた情報発信力も、市長時代の政治手法や言動に対する批判の声にかき消された。
最終盤に「潮目が変わった」と振りかえる樋渡さん。「佐賀を良くしたいという政策を訴えたが、思いが届かなかった」と淡々と語った。
【2014-2015知事選】
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