[PR]

 仏週刊新聞の襲撃事件は、多様な人種や宗教を受け入れてきた欧州社会の理想を根底から揺さぶっている。反イスラム感情がじわじわ浸透するなか、孤立した一部のイスラム教徒は過激思想に染まる。各国はテロ対策を強化するが、問題の根は深い。

 英国のキャメロン首相は襲撃事件直後の7日、訪英中のメルケル独首相と記者会見し、英仏独3カ国がテロ対策で協力強化することで一致したと表明した。

 英BBCによると、英政府はテロ防止のため、英仏を結ぶ国際列車ユーロスターや英仏海峡トンネルの警備を強化し、パリにある英国のテロ対策チームを増員した。ドイツのデメジエール内相も7日、パリの事件を受け、国内の飛行場や駅などで警戒レベルを上げるなど各国と協議し、テロ対策を見直す考えを示した。

 各国が警戒するのは、中東の過激派組織「イスラム国」に参加した後に戻った若者たちだ。欧州出身者の戦闘員は3千人を超すとされ、一部はすでに帰国している。彼らの監視を徹底し、情報機関の連携を密にしてテロ再発防止につなげる考えだが、必ずしも組織化されておらず、対策は難航が予想される。