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 仏当局による二つの立てこもりの制圧は、人質やその家族がもたらした情報、そして幸運が支えとなった。

 パリ東端バンセンヌ地区にある、ユダヤ系食材を扱うスーパーで9日夕、爆発音が響いた。特殊部隊はアムディ・クリバリ容疑者(32)を殺害、特殊部隊が人質の救出になだれこんだ。当局は内部の様子を把握していた。

 捜査担当者らの説明や地元メディアによると、クリバリ容疑者が押し入った9日昼、銃声を聞いた買い物客らのうち、少なくとも5人が地下に逃げた。食品を保存する冷蔵室がある。ある父親は息子に自分のジャンパーを着せた。

 息子と孫が人質になったと知った女性は、容疑者に気づかれるのを避けるため連絡はとらなかった。ただし、携帯電話の番号を警察に伝えた。スマートフォンなどが備える「位置情報」を利用して当局は居場所を絞り込んだ。制圧作戦でけがを負わせぬようにするためだったとみられる。

 「人質は17人」「(過激組織)イスラム国のメンバーだ」。クリバリ容疑者は立てこもりのさなか、インタビューを求める仏メディアからの電話を何度か受け、こんな風に語った。スーパーに備えられた固定電話が使われた。偶然、受話器がわずかに外れたままになった。店内の物音が聞こえ続けた。