4話
5月14日1000
アドリア海7000(m)上空
米空軍のKC-46空中給油機から給油を受けたジャックマン率いるオランダ空軍のF-16戦闘機は指定された空域でフォート中隊とその護衛である第132戦闘飛行隊の第31中隊のF-15Cと合流したのである。
1100
ポドリゴツァ郊外上空
フォート1機内
「機長として初めての任務だから緊張するな……………」
機長のジム・ゴンザレス中佐がそう言うとハワイ出身の日系士官で、副操縦士で副操縦士のケリー・ヨコカワ少佐が「そうですね。ですけど私や皆は中佐を信用していますよ」と続き、それを聞いたゴンザレスは安堵の表情を浮かべ、「わかった」と続く。
とは言え、いつミサイル警報が来るか。それを考えるとゴンザレスもヨコカワも内心では非常に不安であった。だが、2人ともそれを表に出すことは無かった。
…………………
しばらくして隊長も兼務しているゴンザレスが機長ではなく隊長として「各機、爆弾倉開放用意!」と命じる。
すると火器管制士官であるジョンソン中尉がレバーを倒すと機体中央下部にある観音扉の様な爆弾倉が開き、それを見た僚機もそれを真似て爆弾倉を開く。
「………3…2…1…………投下!」
ゴンザレス中佐がそう言うと火器担当の上等軍曹がレバーを下方に下げ、爆撃倉からMk-82爆弾に誘導装置を加えたJDAM(※1)と呼ばれる誘導爆弾が放たれる。
「フォート1。全弾投下完了」
ゴンザレスがそう言うと空域管制担当の早期警戒管制機であるスノークラウドから『ご苦労さま。これより帰還を命じる』と言われ、機はゆっくりと旋回し、アルピノ基地のあるイタリアへ向けて進路を変更したのである。
やがてフォート中隊の放ったJDAMは衛星電波により誘導され、ポドリゴツァ市郊外の軍事施設や発電所、更には同市から南へ繋がるの橋や高速を幾つか破壊し、同市の継戦能力を奪ったのである。
……………………
ベオグラード市内、大統領宮殿
参謀からポドリゴツァへの奇襲攻撃を聞いたモハエルビッチ大統領は
「そうか………状況はわかった。とは言え、ボスニアへの侵攻戦力の一部をこちらの防衛に回し、占領戦力を減らすと言う選択肢は避けたい。」
と言う。
すると国防大臣が「では、現在アドリア海に展開しているNATO艦隊に対する奇襲をかけましょう。もし、大きな被害が出れば欧米資本主義陣営なら大きく報道するはずで、戦争反対の世論が高まるのでしょう。これが一番、いいと思います」と進言した。
それを聞いた大統領はすぐさまそれを実施せよと命じたのである………これが取り返しのつかないミスとなることを知らずに………
5月15日1000
セルビア・モンテネグロ
ヘルツェグ・ノビ上空500m
「………アルファ1より各艦に告ぐ。艦隊より北西の方角、距離42(km)、3時の方角より多数の舟艇が接近している模様です!」
大和搭載の複座型のA/V-8BJ戦域偵察攻撃機の偵察員である俺、野島重男中尉が母艦である大和に報告すると大和から『了解。アルファ隊は警戒と報告を継続せよ』と命じられた。
それからしばらくすると操縦士の可部竹雄大尉が「………ミサイル警報だ!?ウォッチャー(※1)、来たぞ!ストレラⅢだ!」と叫ぶとすぐに「フレア射出!急旋回」と続き機体を急旋回させる。
「そう言えば大尉。ソ連製のミサイル艇は個艦防空用のミサイルを搭載していたはずです!」
俺がそう言うと可部大尉は「そう言えばそうだったな…………」と続く。
それから数秒もしない内に大尉は空域から離脱する理由を大和に伝え、近くの海域に展開していた別艦隊の旗艦であるイタリア海軍の空母ジョゼッペ・ガルバルディへと向かった。
1020、ぺトロヴァク沖30km
合同軍艦隊旗艦
戦艦大和CIC
「ミサイル艇か、厄介だな」
大野崎司令がそう言うとが派遣艦隊参謀長の新川恒大佐が
「その通りですね……………先にミサイルで潰しときますか?」
と続くと大野崎は
「それも手だな……」と続く。
だが、司令や参謀長が口を開けようとした瞬間にある電測員が「レーダーに反応!…………水平線高度に高速飛翔体感知!」と叫び、状況が代わる。
「IFFコードはどうか!?」
谷島艦長がそう聞くとその電測員は「反応赤…………敵です!」と続き、それを聞いた司令はすぐに落ち着いた声で「対空戦闘用意」と言う。
すると艦内に"カンカンカン"と言う警報音が鳴り響く。
とは言ったものの、既に対潜戦闘に備えていたのでそれを対空戦に切り替えただけなので準備万端であった。
「前部VLS、SM-2(※2)スタンバイ!」
「ミサイル誘導電波照射機接続完了!」
「僚艦とのデータリンク接続完了。霧島及びデ・ラ・ペンヌ、ニューカッスルもそれぞれミサイル発射準備完了しました」
「……3…2…1………発射命令!………ってぇええー」
砲雷長がそう叫ぶと大和を始めとした各艦からSM-1/2や英艦からシーダート対空ミサイルが放たれ、セルビア・モンテネグロ海軍のソ連製のタランタル級ミサイルコルベット(※3)から放たれたKh-35ウラーン対艦ミサイルに向けて飛翔していくのであった……………
※1 JDAM=Joint Direct Attack Momutionの略。
和訳すれば統合打撃直撃爆弾となるが、統合直撃弾とも称される。
※2 SM-2スタンダード
米国製の3Tシリーズの後継であるスタンダードシリーズの長射程型。
対航空機・ミサイルなどの用途以外に水上打撃も可能な多機能ミサイル。
※ タランタルミサイルコルベット
ソ連のミサイル艇。だが西側のミサイル艇に比して重武装であり、76㎜速射砲と対艦ミサイル以外にも対空ミサイル、対潜ロケットなども備え、大戦時の陽炎型駆逐艦に近い排水量を持つので、コルベット(哨戒艦)とされている。
現在もロシア海軍やベトナム海軍で配備され、国境警備などに従事している。
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