「新書バカ」:日本のノンフィクションの危うさとピケティの『21世紀の資本』|りんがる|note https://note.mu/lingualina/n/n7635c678e46a | 今、仕事のひとつとして、日本のノンフィクションを英語圏でも出してもらおうと奔走しているんですが、箸にも棒にも引っかからない著作ばっかりで、めげています。 | ピケティ本に限らず、英語圏で出ているノンフィクションの本は分厚くて、くどいものが多いです。でも読み応えがあって、ストーリー性もあって、例え著者の主張に賛成しかねるところはあっても、なぜそう思うのか、理解することができます。そして時代に関係なく「物語」として後々まで楽しめる本が多いです。以前も述べたけど、日本のなんちゃってジャーナリストは、やたら「グローバル化だ、世界に通用する産業しか生き残れない」と騒ぐけど、自分たち自身が幸いにして日本語の壁に守られてることを忘れてるんだよね。日本のローカルでしか通用しないジャーナリストが、世界を開いてに実際に競争している輸出産業を「グローバル化につまずいている」と批判する滑稽さ。 * * *でもその壁もそう長くは持ちそうにないよね。機械翻訳が実用になってきている。もちろん人間が訳したものに比べれば太刀打ち出来ない。専門用語とか訳せないし、そもそも文の意味を逆に訳してしまったり、それだけでは問うて実用にならない。でもざっと読んで何が書いてあるかを捉えるぐらいにはすでに十分実用的。WebのGoogle翻訳とか。なにより斜め読みできるのがいいよね。んで大事なところは自力で英文を読めばいいわけで。それだけでも随分海外のコンテンツに対するハードルが下ったと思う。電子書籍も機械翻訳版がでるのではなかろうか。原書と機械翻訳をセットで売るの。流石に現段階で「機械翻訳版だけ」というのは無理だろうけど、セットなら重宝されるんじゃないですかね。対訳形式でもいいし。この点もレイアウトの制限がない電子書籍は有利。日本語訳本としては売り物として通用しなくても、「原書の付録」としてなら付加価値はある。たぶんそのうちブームになるはず。出版社もグローバル化するだろうし。 * * *するといよいよ日本の文筆家たちも海外と戦わなければならなくなる。日本語で日本人向けにだけ「グローバル化時代には~」とか偉そうに語っているブロガーたち、ザマァwwwwwwww。頑張って世界で通用する文章を書いてくださいね。逆にそういう時代になると現在グローバル化に四苦八苦している産業は、いくぶん楽になるはず。やっぱ「英語圏」というだけで世界市場ではかなり有利なわけで、その格差がなくなり、実力勝負になる。現在ハンデを背負いながら戦ってる産業が、そのハンデが軽くなる。立場が逆転するだろう。 * * *機械翻訳が盛んになると、機械翻訳に適した文体というのが流行るだろう。訳しやすい文章。面倒な言い回しで否定してるんだか肯定してるんだかわからない文章や、この単語がどの単語に掛かるのか人間でも判断に迷うような文章は廃れていくだろう。文法チェッカーとかできるかもしれない。「この箇所は意味が曖昧です」と機械翻訳にかけた時正しく翻訳されない可能性を警告してくれるの(笑)。プログラミング言語にもそういうツールがある。lintというツール。コンパイラよりもチェックが厳しい。文法エラーとはいえないが、ミスの原因になりそうなもの、ミスの可能性が高そうな表記を指摘してくれる。 lint - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/Lint最近はコンパイラ自身が「エラー」ではなく「ワーニング(警告)」として、一昔前のlint並のチェックをしてくれるようになったけどね。ワーニングレベル(警告レベル)を指定できて、どこまでチェックするか選べる。ただチェックを厳しくし過ぎると、この処理は警告が出ない形では書けないというケースが出てくる。 * * *今はそれぞれの国に出版社がある。グローバル企業の場合も基本的に国ごとに支社(?)がある。でも将来は逆になると思うんだよね。アメリカとかにある本社に、必要に応じて各国の人間が詰めて勤務する。日本語版もアメリカの本社で翻訳されて出版される。Microsoftがそうだった。むかしのWindowsの日本語版は日本にいるエンジニアが開発していた。しかしこの体制だとなにかと問題が出た。一番のネックはアメリカ本社と日本法人のエンジニアのコミュニケーション不足。まず英語版を本社が作り、その後日本語版に翻訳したり、IMEとか日本語版にのみ必要な機能を追加したりしていたので、どうしても日本語版がでるのに時間がかかった。Microsoftは最初からWindowsを各国対応版として開発しようとしたが、意思疎通の問題でうまく行かなかった。んでブチ切れたビル・ゲイツが日本にある開発拠点を閉鎖して、日本語版Windowsもアメリカ本社で開発するようになった。現在のように最初から各国対応版のWindowsが同時に発売されるようになるまで、こうした苦労があったわけだ。 * * *おそらく本の出版社もいずれ似たような問題に直面するはず。未来には英語版の本をまず作って、それを日本語に翻訳するのではなく、最初から各国語版が同時に出版されるようになるだろう。翻訳しにくい文章を機械翻訳しやすいように書き換える職業とかも登場するかもしれない。機械翻訳に適した文章にしてしまえば、あとはどの国の言葉にも自動的に翻訳できるわけだから。日本の出版社はそういう方向に活路を見出すのもありだと思う。そういう視点で見れば日本というのはいい位置にいるはず。欧米の言語だと近すぎて、多言語処理のモデルにならないと思うんだよね。その点英語と日本語はかなり違うから、この関係が処理できるなら他の言語もできるだろう。英語圏の人間が他の言語に翻訳しようとするモチベーションは日本よりは高くないだろうから、日本企業が独占できるチャンス。まあgoogleやamazonがこういう市場も持ってちゃうかもしれないが。コンピュータソフトウェアと違って書籍は各国の文化の依存性が強いからそうはならないって?いずれなっていくと思うんだよね。共通化しやすいジャンルから。技術書なんかその最たるものだし、ドキュメンタリーとかも同様。フィクションとかは遅れるかもしれないが、それもいずれそうなっていく。マンガとかも。