【デトロイト=杉本貴司】日産自動車は8日、米航空宇宙局(NASA)と自動運転車を共同開発すると発表した。2015年末までに試作車をつくり、NASAの施設で実証実験を始める。日産は自動運転技術を16年から段階的に実用化し、20年までにほぼ完全な自動運転車の市販を目指す。先端技術を集めた自動運転で、業界の垣根を越えた連携が加速しそうだ。
日産の米シリコンバレー研究所とNASAのエイムズ研究所(カリフォルニア州)が自動運転システムやソフトウエア分析などを共同開発する。契約は5年間。開発した技術を市販車に搭載するほか、NASAは宇宙での活用も視野に入れる。
NASAはトヨタ自動車がエンジン制御システムに欠点を抱え「意図しない急加速」を起こすと疑われた際にトヨタ車を調査し、欠陥がないと証明した実績がある。日本の自動車大手と先端技術を共同開発するのは珍しい。自動運転は人工知能など自動車メーカーが手薄な先端技術を使うため、業界や国境を越えた取り組みも増えそうだ。
15年末までに試作車を開発し、エイムズ研究所で遠隔操作の実証実験を始める。NASAが持つ惑星探査ロボットの技術を活用できる。
日産はこれまで自動運転車を開発してきたが、「提携で自動運転技術の安全面の開発を加速できる」(カルロス・ゴーン社長)とみている。日産は16年に高速道路限定で一部自動運転の技術を実用化し、20年までに「ほぼ全ての状況で走れる」(同社)自動運転車を投入する計画だ。
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