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【2015新春特集】安倍相場 第2幕を予想する - Yahoo!ファイナンス

安倍相場 第2幕を予想する

追加金融緩和、GPIFによる日本株買い、堅調な米国経済の追い風を受けて、2015年の株式市場は続伸が期待できる環境にある。資源国経済のリスクが顕在するなかでどこまで上値を試せるか? 「投資の達人」が2015年「日経平均」の予想レンジとその根拠を解説する。

2015年「日経平均」中心レンジ予想

JPX日経インデックス400への関心は高い

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株の資産構成割合引き上げへの思惑から、2014年同様、「JPX日経インデックス400」への関心は高く、ROEが高水準の企業が重視される。当然、企業についてもROE向上に向けた株主還元策に取り組む動きは続くと考えられ、この相乗効果が株式市場の底堅さにつながる要因として期待される。
 また、衆院選での自民圧勝により、アベノミクスが信任された。安倍長期安定政権となることから、海外勢による年金等の中長期的資金流入も期待されてくる。原発再稼動の動向や国策となる水素自動車への整備のほか、カジノ法案などの先送りされている法案について、成立への思惑などが物色材料になるだろう。さらに社会インフラ等の動きも一段と進むことが見込まれる。
 2015年も継続的ながら様々なイベントやテーマがあり、燃料電池車MIRAI(ミライ)のほか、リニア、北陸新幹線の全線開業、人材不足、デング熱、日本郵便、USJ、アナと雪2など。
 一方、原油やロシア情勢、ギリシャなど欧州情勢などの外部環境にも注意が必要であり、外部環境の不透明の中では、よりテーマ性のある材料銘柄に資金が向かいやすいだろう。そのほか、クールジャパン効果もあって、エヴァンゲリオン、進撃の巨人等のイベント開催が、より訪日観光客の増加につながるか注目されよう。

先進国の株価は堅調を維持、日本企業の成長率は高めに

 世界的な景気・株価の大きな流れを考えると、2015年も米国では金利上昇期待、日本では金融緩和が続き、日米金利差は拡大方向にあることには変わりません。また、欧州は第1四半期より量的緩和実施する可能性があり、日本も消費者物価指数次第で更なる追加緩和も期待されるところで、年を通してグローバルな金融緩和状態が続くと思います。そして金利の先高感のある米国に余剰資金が流れ込んで米国国債は高値が保たれるため、米国は好景気時の低金利状態を引き続き享受できると考えます。中国が金融緩和に動いている点もプラス。したがって2015年の世界経済は米国が牽引する形で先進国を中心に堅調な状態が続くと思います。
 2016年3月期の日本の企業業績を考えると、円安メリットを引き続き享受できる上、2015年3月期上半期は消費税増税による反動減があったため、前年実績が低い分、成長率は高めに出やすくなります。
 したがって世界的に先進国の株価は比較的堅調な状況が続き、日本においても円安・株高は2015年も継続するというのが基本シナリオです。年間の中での上下動はあるものの、2015年末の日経平均は2万円越えが期待できると思います。
 現在進行している原油価格の急落はリスクもありますが、チャンスと捉えることもできます。原油が国家収入の大きな部分を占めるロシア、ベネズエラなどの新興国の通貨、株式、通貨が崩れ、リスク回避の動きから新興国から資金引き上げの動きが出ています。これは1998年後半の状況と良く似ており、当時は先進国の株価も調整しましたが、その下落は翌年に向けての買いチャンスとなっており、今回もチャンスとなる可能性はあると思います。

調整を交えながらも雄大な上昇相場が期待できる

熊谷亮さん

 2015年の市況を予想してみましょう。年末に行われた衆院選では与党が圧勝しました。安倍政権は長期安定化し「景気回復策」「株高政策」を一段と推し進めることとなります。2015年から日銀はETF(上場投資信託)買い入れ枠を従来の3倍となる年間約3兆円としています。更に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など国内年金による日本株比率引き上げも好需給を生み日本株の上昇を後押しするものと思われます。
 ファンダメンタルズを見ても、為替の円安から輸出企業を中心に増益ペースが加速しております。これに加え原油価格の下落も日本企業には追い風となり輸送コストや電力料金の値下げも予想されます。更に、2020年東京五輪開催に向けて、鉄道網や高速道などのインフラ整備が加速することも見込まれます。バブル崩壊から景気低迷が続いておりましたが、安倍政権による「3本の矢」から始まった経済政策から日本経済はうねりを見せております。
 日経平均株価は「アベノミクス上昇第1波動」を終え調整を続けていましたが、昨年10月31日の日銀の追加金融緩和策決定から急騰、一気に高値を上抜け「上昇第2波動」がスタートしております。2015年は調整を交えながらも雄大な上昇相場が期待されます。まさにチャンス到来です。ワクワク・ドキドキ胸が躍ります。

2万円台維持には先物、オプションの力技が必要

 13年5月、13年大納会、14年9月につけた水準(1万6000円)が15年のサポートラインとなると見る。節目節目ではこの水準を割り込むことはあっても、下方乖離が中期的に続くといった展開は回避されよう。背景としては、日銀、GPIFなどによる日本株への買い需要が存在するからだ。
 一方、上値メドとしては2万円の大台と言いたいところだが、この水準到達には先物、オプションなどを駆使した力技が必要となろう。もちろん、増収増益を更新する企業が続出すれば自然体で2万円は見えてくるが、日本株を下げさせないというよりも指数を下げさせないという歪な側面を持つ日本株式市場を見る限り、先物、オプションといった流動的な力に頼らざるを得ない。
 上値メドを2万円と見るが、2万円レベルでもみ合うのではなく、SQ前に瞬間的に付けに行くといった展開を想定する。なお、筆者は、需給面や金融商品の爆発的な増加などを背景に、日経平均よりもJPX日経インデックス400が相対的に強含むと考える。

中心軸は1万8500円。PER17倍なら2万円超えの想定に

 2015年年間での日経平均株価の高値は2万1500円(12月)、安値は1万5500円(5月)を予想する。したがって、中心軸は1万8500円となる。この中心軸からプラス、マイナス500円の1万8000円から1万9000円が中心レンジとなる。
 15年3月期の日経平均株価の一株利益は1100円程度に上方修正されそうだ。これに、来期最終利益の増益率を12%と想定すると一株利益は1230円。PER15倍で1万8450円、16倍まで買われると1万9680円、同17倍で2万0910円と2万円を超えてくることになる。

ギリシャ、チャイナリスクなど外的要因には注意を

 2015年の日経平均株価は2万円の大台乗せも視野に入ってくると予測する。買いのスタンスで臨んでいきたい。プラス材料は、①為替の円安シフトによる企業業績の上方修正、②GPIF・日銀による強力な株価下支えの存在、③原油価格下落による原油産油国から消費国への所得移転効果、④消費再増税の延期による個人消費低迷回避をあげる。
 一方、外的要因には注意が必要だ。①米国FRBの利上げ時期に絡むヘッジファンド資金の動向、②ギリシャ・チャイナリスク、③原油安によるソブリンリスク、が意識されるとマーケットへ混乱をもたらす要因となりうるため十分注意しておきたい。

為替相場を予想する

2015年「ドル円為替」中心レンジ予想

米国の1人勝ち、円安と日米金利差の拡大続く

矢口新さん

 私は、円の長期トレンドに最も大きな影響を与えるのが日本の貿易収支、中期トレンドに最大の影響を与えるのが日米金利差だと見ている。貿易赤字は長期の円安トレンドにつながるが、2015年も貿易赤字は続きそうだ。
 一方、日米金利差があり、それが更に拡大すると見込まれる時には、中期の円安トレンドにつながる可能性が高い。2014年の円建て外債の発行額が、12月12日時点で2兆5104億円と前年実績を5割強上回り、1996年以来の高水準となった。欧州の銀行が5年債を0.47%で発行したが、例えばこれを12月12日終了時点の米5年国債の利回り1.51%で運用すれば収益がでる。同日の日本の5年国債の利回りは0.07%なので、日本の投資家が為替リスクなしで、自分より格上の銀行債を購入する理由もある。日本は追加緩和を行ったばかり、米国は2015年中にも利上げが予想されているので、日米金利差は拡大し、こういったキャリートレードが増える見通しだ。
 この金利を信用力が高く、先進国の経済で1人勝ちの米国が提供しているのだ。目先の振れはともかく、中長期のドル円の売り手は買われ過ぎの調整によるものだけという展開が2015年も続きそうだ。

円安トレンドは不変、7月か9月の米国の利上げが焦点に

 2014年後半、日銀の「黒田バズーカ2」により12月初めに121円台まで上昇したドル円だが、原油価格の急落やロシアリスクなどによる、各国の株価暴落など受け、ドル円も115円台まで売られるなど乱高下の年末となった。
 2015年に向けてファンダメンタル要因を整理すると、上げ要因としては、①米国の利上げ、②日銀の追加金融緩和、③ECBのQE開始が上げられる。下げ要因としては、①原油価格下落による株価の下落、②ロシアリスク、③米国政権の捻じれがあげられる。
 これら要因の中で、最大の注目は米国の利上げであり、7月か9月に米国の利上げが実施された場合、ドル円は夏場には、14年の高値121円を突破すると予測する。また、日本は消費税10%を2017年4月に実施する可能性が高く、2015年中は円高に振れた場合には量的緩和が行われ、下げ足は抑えられると予測する。そして、ECBのQE開始に関しても、ユーロ圏の経済状況を考えると、実施せざる負えない状況であり、これらの3要素を考えると、15年の秋口にかけては、130円もありえると予測する。しかし、上記の下げ要因も解消されるわけではなく、節々で下落局面となるが、長期トレンドを変えることはないと予測する。

円安だが4つの地政学リスクに注意

 2015年ドル円相場は、日銀の金融緩和による円安要因と米国の利上げ開始によるドル高要因から円安トレンドが継続すると思われる。当面の目処は、2007年6月22日につけた1ドル124.14円となりそうだ。GPIFによる外貨建て資産の購入、日本株高に絡む海外投資家勢のヘ ッジ売りも想定される。懸念材料として、①米債務上限引き上げ問題、②ギリシャショックの再燃、③チャイナリスクの再燃、④原油価格下落による新興国ショック、地政学リスクの4点には注意したい。
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