暮らしの現場から:検証・安倍政権/1 生活困窮者 「切り捨てられている」 自立迫られ生活扶助減額 /岩手
毎日新聞 2014年11月23日 地方版
男性を支援する同会の鎌沢範之会長(72)は「消費増税は社会保障のためだったはず。増税だけして、困窮者に追い打ちを掛ける施策は間違いだ」と指摘する。県内では8月現在、6818世帯が生活保護を受給。安倍政権が発足した12年12月の6773世帯からわずかだが増えた。鎌沢さんは「生活保護受給者には仕事がない高齢者や障害者、健康問題を抱える若者など多様な背景がある。一律に『自立』『自助』を求める政府には現場が見えていない」と批判する。【春増翔太】=つづく
◇保護費670億円削る方針
国は昨年8月から生活保護費のうち生活費に当たる「生活扶助」を減額している。3年間で総額約670億円を削る方針だ。
昨年12月には改正生活保護法と生活困窮者自立支援法が自公両党の賛成多数で可決、成立した。前者では「就労自立給付金」を新設。受給者が働くと、給与分が保護費から減額されるのは同じだが、将来自立した時に一部が戻される仕組みにして保護脱却を促す。
一方、不正受給の罰則強化や、親族が扶養できないとの説明の義務化など「締め付け」策が盛り込まれ、困窮者支援団体などは「受給手続きのハードルが上がった」と指摘する。