720pや1080pのHD(ハイデフィニション)動画が当たり前の時代になり、撮影機材の進化が著しい。なかでも注目は、レンズ、マイク、ファインダーを自分好みで組み合わせる“デジタル・シネマカメラ”。プロフェッショナルも御用達だ。
文: 榎本一生 写真: 山田隆史
美しい映像が手に入る
映像系クリエイターのあいだで話題沸騰中のデジタル・シネマカメラがある。それがブラックマジックデザイン社の「Blackmagic Pocket Cinema Camera」だ。見た目も大きさも潮流のミラーレス一眼カメラのようだが、あくまでも動画撮影専用のカメラである。
初めて実機を見たのは、本誌の取材撮影をお願いした写真家・淺田創氏が現場にもってきたとき。彼によると、これまで数百万円するような機材でしか撮れなかった美しい映像がこのカメラで撮れるという。
「一眼レフカメラの動画がJPEGと同等の階調しかないのに対して、このカメラはRAWで撮ることができる。どういうことかというと、映像の階調が非常に深く、撮影後にスチール写真をレタッチするのと同様の感覚で色調補正ができます。それを約10万円という低価格で実現したことこそ、このカメラの最大の魅力です」