ぼっち転生記SS 『聖帝玉言集』(エターナル学園)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【サラ視点】
私は、故人である木こりサムソンの娘・サラです。
父の死後、家族を養う為、身を売り奴隷に落ちました。
奴隷として、どれほど悲惨な境遇に陥り、どれほど辛い目にあうか
心底――恐ろしくはありました。
ですが――今、私は楽園のような場所にいます。
『エターナル帝国・国立エターナル学園』
奴隷の子供を養育し、教育を受けさせ、鍛錬し、一流の人材に育て上げることを目的に設立した養育・教育機関。
別名は『奴隷牧場』らしいのですが、名前のイメージとは掛け離れた、素晴らしい場所です。
成人後、一流の戦士などとして、“卒業そして出荷“させられるらしいのですが、
多くの生徒(子供)は、ずっと、この場所にいたいと願っております。
全ての生徒(子供)たちは、ずっと、ずっと、この場所に、
このエターナル学園そしてエターナル帝国で暮らしたいと願っております。
それこそずっと――永遠に――
◆◆◆
“大草原”中央南西部地域に建国されたこのエターナル帝国の住民にさせていただき、
そして、エターナル学園に生徒にさせていただき、およそ2カ月が経過しました。
帝国内・学園内の様々なコトに、驚きの連続でしたが、最近は、少しずつ慣れてきております。
ただ、このような夢のような生活は、それこそ夢ではないか
――夢を見ているだけで、現実の私は、薄汚れた奴隷服を着、奴隷用の小さな部屋(檻)に入れられているではないか。
目を覚ませば、なにものでもない――むしろ、人として底辺の立場である――自分が、檻の中にいるのではないか。
これは、人見知りな傾向があり、あまり友達がいず、夢想がちで妄想癖のあった私が
現実から逃避するために見ている夢(妄想)にすぎないのではないか。
そういった、不安を抱いてはおりますけれど。
◆◆◆
エターナル学園の大教室にて。
朝の合同授業(ホームルーム)があったのですが、
ある配布物を生徒全員に配られました。
配布した方は、『皇帝陛下の側近奴隷にして筆頭秘書官』であられる、ハーフエルフ・ルナ様です。
非常に有能かつ勤勉であり、そして、皇帝陛下への忠誠度には一点の曇りなし、と、言われているお方です。
アッシュ神聖皇帝からの信任・信頼も厚く、帝国での政策・施策のほとんどに、
大きく関わってもおられるお方です。
無表情かつ冷たい目をされているので、『氷の宰相』とか『冷血半妖精』とか、言われてもいるようですが。
・・・・・・そう言った呼び名・綽名は、悪口みたいで、私は嫌いです。
でも、アッシュ神聖皇帝陛下にもっとも近しい側近奴隷の1人ということもあり、
他の奴隷から、嫉妬・やっかみもあるのか、もっと酷い悪口・陰口も言われてはいるようです。
なかには、彼女がアッシュ皇帝に出会うまで、他の主人の奴隷であった時期、
身体を散々に『汚された』ことを揶揄し見下すような陰口まで叩く人がいます。
本当に……酷いです。
「この『聖帝玉言集』を毎日読み、皆、あの偉大なお方が発した尊いお言葉を心に刻む込むように」
命令するかのようにそう言って、筆頭秘書官ルナ様は大教室を退出されました。
「えっらそうに。聖帝様――アッシュ皇帝陛下――のお言葉なら、毎日、喜んで読むけどよ。お前に命令されたくないつーの」
「あの半妖精、馬とか犬とかに犯されたこともあるのですって
「うわぁ、いくら美人でも、ないわぁ」
私の周りにいた生徒たちが、ボソボソと、ルナ様の陰口を呟きました。
聞きたくなかった私が、耳を両手で塞ごうとすると――
「こらぁっ! ルナたんの悪口呟くのメーなのっ!!!!」
“誰か“の声が聞えてきました。
この地に来て、たまに聞こえてくる風精霊の声です。
「警告なの! あんまりルナたんの悪口や陰口を言っているとアッシュ君に報告して、君たち、“追放”しちゃうぞ! BANしちゃうぞ! なのっ!!!!」
この楽園のような地からの追放――それは、私たちにとって、死刑宣告以上ともいえます。
私は、震えあがりましたが――あいにく精霊の声は、ほとんどの生徒たちは聞こえてきません。
陰口を叩いていた生徒(子供)たちも、精霊の声は聞こえないのでしょう。
平然とした顔のままです。
もっとも。
いまだ、この地(楽園)を追放された方はいないので、風精霊が皇帝陛下に報告しても、追放という、厳しい処分までは、ありえないでしょうけれど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【三人称”神”視点】
『つまづいたっていいじゃないか、ヒューマンだもの』
『聖帝玉言集』に書かれている言葉だ。
そもそも、『聖帝玉言集』とエターナル神聖皇帝アッシュが、独り言も含めて呟いたり、
口にした言葉を、側近奴隷であるルナがまとめたものである。
アッシュは生前、相田みつを先生が好きだった。
孤独に生き、心を傷付けられながら生きていたアッシュには、相田みつを先生の“名言“に、何度も救われていた。
そのアッシュは、転生後、よく相田みつを先生の名言を引用したり、独り言で呟くことはある。
異世界のこの地に相応しい単語に置き換えることもある。
『つまづいたっていいじゃないか ヒューマンだもの』も
相田みつを先生の名言を、異世界風に置き換えて、呟いたモノだ。
それを、エルフの血が引き、耳が良く、特に敬愛・敬慕しているアッシュの言葉に対しては、聴覚が通常の3倍になる筆頭秘書官ルナが、心のメモ帳に刻み、このたび、ルナが編集・発行した『聖帝玉言集』にも掲載していた。
「なんだか・・・・・心に染みこんできます」
皇帝アッシュの奴隷であり、エターナル学園・一回生のサラは、
『つまづいたっていいじゃないか、ヒューマンだもの』という言葉に、感銘を受けていた。
また、サラのすぐ後ろの席に座っていた、見た目は10歳前後の幼女たちが
「深いねェ」
「深いでつねぇ」
などと、感じ入ってもいた。
彼女たちは、女の場合、成人しても幼女や童女のように外見が見える【大地妖精(ドワーフ)】である
彼女たちが開いていた『聖帝玉言集』には
『ころんだっていいじゃないか ドワーフだもの』
と、書かれていた。
ちなみに――
『スリップしてもいいじゃないか エルフだもの』
という言葉も――『聖帝玉言集』には書かれている。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【あとがき】
相田みつを先生のお言葉は、本当に心に染みます。
特に苦しい時、疲れている時は……それこそ涙が自然に浮いてくるほどに
【サラ視点】
私は、故人である木こりサムソンの娘・サラです。
父の死後、家族を養う為、身を売り奴隷に落ちました。
奴隷として、どれほど悲惨な境遇に陥り、どれほど辛い目にあうか
心底――恐ろしくはありました。
ですが――今、私は楽園のような場所にいます。
『エターナル帝国・国立エターナル学園』
奴隷の子供を養育し、教育を受けさせ、鍛錬し、一流の人材に育て上げることを目的に設立した養育・教育機関。
別名は『奴隷牧場』らしいのですが、名前のイメージとは掛け離れた、素晴らしい場所です。
成人後、一流の戦士などとして、“卒業そして出荷“させられるらしいのですが、
多くの生徒(子供)は、ずっと、この場所にいたいと願っております。
全ての生徒(子供)たちは、ずっと、ずっと、この場所に、
このエターナル学園そしてエターナル帝国で暮らしたいと願っております。
それこそずっと――永遠に――
◆◆◆
“大草原”中央南西部地域に建国されたこのエターナル帝国の住民にさせていただき、
そして、エターナル学園に生徒にさせていただき、およそ2カ月が経過しました。
帝国内・学園内の様々なコトに、驚きの連続でしたが、最近は、少しずつ慣れてきております。
ただ、このような夢のような生活は、それこそ夢ではないか
――夢を見ているだけで、現実の私は、薄汚れた奴隷服を着、奴隷用の小さな部屋(檻)に入れられているではないか。
目を覚ませば、なにものでもない――むしろ、人として底辺の立場である――自分が、檻の中にいるのではないか。
これは、人見知りな傾向があり、あまり友達がいず、夢想がちで妄想癖のあった私が
現実から逃避するために見ている夢(妄想)にすぎないのではないか。
そういった、不安を抱いてはおりますけれど。
◆◆◆
エターナル学園の大教室にて。
朝の合同授業(ホームルーム)があったのですが、
ある配布物を生徒全員に配られました。
配布した方は、『皇帝陛下の側近奴隷にして筆頭秘書官』であられる、ハーフエルフ・ルナ様です。
非常に有能かつ勤勉であり、そして、皇帝陛下への忠誠度には一点の曇りなし、と、言われているお方です。
アッシュ神聖皇帝からの信任・信頼も厚く、帝国での政策・施策のほとんどに、
大きく関わってもおられるお方です。
無表情かつ冷たい目をされているので、『氷の宰相』とか『冷血半妖精』とか、言われてもいるようですが。
・・・・・・そう言った呼び名・綽名は、悪口みたいで、私は嫌いです。
でも、アッシュ神聖皇帝陛下にもっとも近しい側近奴隷の1人ということもあり、
他の奴隷から、嫉妬・やっかみもあるのか、もっと酷い悪口・陰口も言われてはいるようです。
なかには、彼女がアッシュ皇帝に出会うまで、他の主人の奴隷であった時期、
身体を散々に『汚された』ことを揶揄し見下すような陰口まで叩く人がいます。
本当に……酷いです。
「この『聖帝玉言集』を毎日読み、皆、あの偉大なお方が発した尊いお言葉を心に刻む込むように」
命令するかのようにそう言って、筆頭秘書官ルナ様は大教室を退出されました。
「えっらそうに。聖帝様――アッシュ皇帝陛下――のお言葉なら、毎日、喜んで読むけどよ。お前に命令されたくないつーの」
「あの半妖精、馬とか犬とかに犯されたこともあるのですって
「うわぁ、いくら美人でも、ないわぁ」
私の周りにいた生徒たちが、ボソボソと、ルナ様の陰口を呟きました。
聞きたくなかった私が、耳を両手で塞ごうとすると――
「こらぁっ! ルナたんの悪口呟くのメーなのっ!!!!」
“誰か“の声が聞えてきました。
この地に来て、たまに聞こえてくる風精霊の声です。
「警告なの! あんまりルナたんの悪口や陰口を言っているとアッシュ君に報告して、君たち、“追放”しちゃうぞ! BANしちゃうぞ! なのっ!!!!」
この楽園のような地からの追放――それは、私たちにとって、死刑宣告以上ともいえます。
私は、震えあがりましたが――あいにく精霊の声は、ほとんどの生徒たちは聞こえてきません。
陰口を叩いていた生徒(子供)たちも、精霊の声は聞こえないのでしょう。
平然とした顔のままです。
もっとも。
いまだ、この地(楽園)を追放された方はいないので、風精霊が皇帝陛下に報告しても、追放という、厳しい処分までは、ありえないでしょうけれど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【三人称”神”視点】
『つまづいたっていいじゃないか、ヒューマンだもの』
『聖帝玉言集』に書かれている言葉だ。
そもそも、『聖帝玉言集』とエターナル神聖皇帝アッシュが、独り言も含めて呟いたり、
口にした言葉を、側近奴隷であるルナがまとめたものである。
アッシュは生前、相田みつを先生が好きだった。
孤独に生き、心を傷付けられながら生きていたアッシュには、相田みつを先生の“名言“に、何度も救われていた。
そのアッシュは、転生後、よく相田みつを先生の名言を引用したり、独り言で呟くことはある。
異世界のこの地に相応しい単語に置き換えることもある。
『つまづいたっていいじゃないか ヒューマンだもの』も
相田みつを先生の名言を、異世界風に置き換えて、呟いたモノだ。
それを、エルフの血が引き、耳が良く、特に敬愛・敬慕しているアッシュの言葉に対しては、聴覚が通常の3倍になる筆頭秘書官ルナが、心のメモ帳に刻み、このたび、ルナが編集・発行した『聖帝玉言集』にも掲載していた。
「なんだか・・・・・心に染みこんできます」
皇帝アッシュの奴隷であり、エターナル学園・一回生のサラは、
『つまづいたっていいじゃないか、ヒューマンだもの』という言葉に、感銘を受けていた。
また、サラのすぐ後ろの席に座っていた、見た目は10歳前後の幼女たちが
「深いねェ」
「深いでつねぇ」
などと、感じ入ってもいた。
彼女たちは、女の場合、成人しても幼女や童女のように外見が見える【大地妖精(ドワーフ)】である
彼女たちが開いていた『聖帝玉言集』には
『ころんだっていいじゃないか ドワーフだもの』
と、書かれていた。
ちなみに――
『スリップしてもいいじゃないか エルフだもの』
という言葉も――『聖帝玉言集』には書かれている。
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【あとがき】
相田みつを先生のお言葉は、本当に心に染みます。
特に苦しい時、疲れている時は……それこそ涙が自然に浮いてくるほどに