1957(昭和32)年に上京し、映画プロダクションに所属して照明の仕事をしていた1961(昭和36)年、初めて国立療養所多磨全生園を訪れました。そこで在日朝鮮人入所者に出会い、「ここの人はかつて私が地底で体験したような出口のない闇のなかに閉じ込められているのだ」と強い衝撃を受けます。そして、その闇から脱け出したいという入所者の切なる願いを、社会に伝えることこそ自分の使命だと確信し、これがきっかけとなって初めてカメラを手にしました。入所者と療養所を写すためだけのカメラマンの誕生でした。以後20年以上にわたって全国の療養所10ヶ所に通い、入所者と寝食を共にしながら撮り続けた写真は2万点にも及びました。
趙根在の写真は、体の不自由な夫にヤカンで水を飲ませる妻の姿や、感覚のない指の代わりに舌と唇で点字を読む視覚障碍者、亡くなった入所者の葬送、患者運動など、そこに生きる人々とその生き様を鮮明に写し取っています。それらは入所者との強い信頼関係がなければ撮影できなかった場面の数々です。さらに火葬場、監禁室などを写し、それらが存在していた当時の療養所の特異性を伝えています。本展覧会では、これらの写真の中から81点をご紹介します。
趙根在が写真を媒介にして、どうしても社会に伝えなければならないと考えた入所者の姿を、ぜひこの機会に皆さんも心に刻んで下さい。
この人たちに光を ―写真家 趙 根在が伝えた入所者の姿― | |
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見送り(1970年) | 新婚(1967年) |
舌読(1971年) | 全患協の「医者よこせデモ」(1972年) |
場 所: | 国立ハンセン病資料館 1階 映像ホール |
入 場: | 無料 |
定 員: | 150人(当日先着順 事前申込不要) |
生前交流のあった大竹章さんをお招きし、趙根在との思い出や撮影された写真についてお話しいただきました。 |
講演会「趙根在の写真を語る」 | |
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11月29日(土)午後1時半から、大竹章さん(多磨全生園入所者)による「趙根在の写真を語る」に関する講演会が行われ大勢の方々にご参加いただきました。 | |
講演会のご挨拶 | 講師 大竹章さん |
「写真家趙根在」を語る | 「病棟を見舞う」を語る |
講演会の様子 |
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