■矢作俊彦原作・落合尚之作画『鉄人』1-4 (小学館)
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矢作作品で『ららら科學の子』がアトムならやはりその対で『鉄人』は外せない、ということで4冊シリーズを読みました。矢作俊彦でSF、しかもロボットモノ、期待は高かったのですが、、、。
中国長春を舞台にした日本軍の兵器を巡る物語。中国舞台ということで、古くは『気分はもう戦争』を思い出すが、こちらは完全に少年漫画として描かれている。
現代の自衛隊が中国へ赴いている設定、ゴリラ走りする無骨なロボット、電磁波攻撃の兵器(まるで東宝特撮デザイン)等々、ワクワクする設定ではあるが、話がなんだかテンポ悪く乗り切れない。一番は鉄人自体の扱いが中途半端で戦闘シーンはほとんどないし、無骨さを活かしたストーリーにもならないし、、残念。大きな物語を狙っていたのかもしれないけど、構成が今ひとつ(最初の予定より連載を圧縮された??)。
ちょっと前にジョージ秋山の『ザ・ムーン』を読んだのだけど、随分違うけどロボットを物語が使いきれていないところで、どっか似ている。どちらの話も巨大ロボットが町に隠れているのだけど、土台あのでかさでこっそりは出来ないはずなのに何故か誰もどこにあるか気づかないのが辛い(^^;)。やはり少年漫画の巨大ロボットは秘密基地をちゃんと背後に持って、悪と戦わねば。そしてスカッとした主人公の活躍、どちらもそこんところでうまくいってない。
登場人物の描写とか政治力学とか矢作俊彦タッチもあったけれど、オチもそれなりにあったけど、なんだか今ひとつの感をぬぐえない作品でした。もっともっと面白くなりそうな題材なのに残念。
◆関連リンク
・矢作俊彦 『ららら科學の子』 (2003 文藝春秋)
・三島賞受賞!!『ららら科學の子』矢作俊彦
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