心臓病を激減させる「コレステロール引き抜き能」が注目されそうだ。
「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールが善玉である真の理由とこのたび説明されている。
動脈硬化との関係は?
米国のテキサス大学サザンウェスタン医療センターを中心とした研究グループが、有力医学誌であるニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌で2014年12月18日に報告したものだ。
「コレステロール引き抜き能」は、血管に存在して異物の掃除役となっている「マクロファージ」と呼ばれる細胞からコレステロールを抜き取る力を言う。HDLという成分について、マクロファージの細胞を使って測定するものだ。
これまで高比重リポタンパク(HDL)コレステロール濃度は高いと心臓病をはじめとした心臓や血管の病気を減らすとされてきた。血管の内側をあつくする動脈硬化との因果関係については不明だった。
研究グループは、多民族の約3000人を対象として、コレステロール引き抜き能を測定して、動脈硬化性の心臓病や血管の病気との関係を検討した。
引き抜き能が強いと病気が67%低下
その結果、コレステロール引き抜き能が最も高いグループは、最も低いグループと比べると、心血管の病気が67%低下すると分かった。
コレステロールを体の末端から肝臓へと逆輸送するために重要なステップとして、「コレステロール引き抜き能」が注目されそうだ。
研究グループは、今後、心臓や血管のリスクを調べる検査に加えるよう提案している。
日本も含めて世界的に利用が進むかもしれない。
文献情報
Rohatgi A et al. HDL cholesterol efflux capacity and incident cardiovascular events. N Engl J Med. 2014;371:2383-93.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25404125
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