トップページ国際ニュース一覧仏テロ アルカイダ系組織とのつながり捜査
ニュース詳細

仏テロ アルカイダ系組織とのつながり捜査
1月10日 20時50分

仏テロ アルカイダ系組織とのつながり捜査
K10045944711_1501101909_1501101926.mp4

フランスのパリにある新聞社への襲撃事件以来相次いだ一連のテロ事件で、殺害された容疑者の1人が、国際テロ組織アルカイダ系の中東イエメンの組織と強いつながりがあったとみられており、捜査当局は、資金面など具体的にどのような支援を受けていたのかを中心に、捜査を進めることにしています。

フランスでは、武装した兄弟2人が、今月7日、パリにある新聞社の「シャルリ・エブド」の本社を襲撃したのち、9日、パリの北東40キロの町で立てこもったほか、パリ東部の食料品店でも、武装した男が、人質をとって立てこもるなどテロ事件が相次ぎました。
警察は、事件の容疑者合わせて3人を殺害したものの、一連の事件で、新聞社の記者や幹部と警察官、それに食料品店で人質になった買い物客ら4人の合わせて17人が死亡しました。
容疑者のうち、新聞社を襲撃した実行犯の1人、シェリフ・クワシ容疑者は、立てこもりの最中にフランスのテレビ局の電話インタビューに答え、「わたしは、イエメンで活動するアルカイダ系の組織の指示を受けて送り込まれており、組織の指導者から活動資金をもらった」と述べ、アルカイダ系のイスラム過激派組織「アラビア半島のアルカイダ」とつながりがあると主張していました。
これについて9日記者会見したパリ検察庁のモーラン検事は、シェリフ・クワシ容疑者が、2011年にイエメンへ渡ったことを捜査当局も確認していることを明らかにしたうえで、今後は、イエメンの過激派組織から資金面も含めてどのような支援を受けていたのかなどを中心に、捜査を進める考えを示しました。
捜査当局は、フランス国内でも、容疑者らを支援していた人物がいないかどうかなど、事件の全容解明を進めることにしています。

アラビア半島のアルカイダとは

「アラビア半島のアルカイダ」は2009年、中東イエメンを拠点に国際テロ組織アルカイダのメンバーが集まって設立されたアルカイダ系のイスラム過激派組織です。
アルカイダはアフガニスタンやパキスタンを拠点にしていましたが、アメリカの無人機による攻撃や最高指導者のオサマ・ビンラディン容疑者の殺害などによって弱体化するなか、アルカイダに共感する人たちが世界中からイエメンに集まり、「アラビア半島のアルカイダ」に加わることで勢力を拡大しました。
「アラビア半島のアルカイダ」は、イエメン国内で爆弾テロや襲撃を繰り返していますが、イエメン政府だけでなく、アメリカなど欧米も攻撃の対象としています。
2009年には、アメリカ中西部の空港に着陸する直前だった旅客機の機内で爆発物を爆発させようとする事件を起こしたほか、2010年には、イエメンに駐在するイギリス大使に対して自爆テロを行い、警備担当者など3人が負傷しています。
また、アメリカ国防総省の発表によりますと先月、アメリカ軍の特殊部隊がイエメンで「アラビア半島のアルカイダ」に拘束されたアメリカ人の男性ジャーナリストの救出作戦に失敗し、男性が殺害される事件も起きていて、オバマ大統領が「この野蛮な殺害を強く非難する」とする声明を発表していました。

新聞社の編集長 暗殺対象と名指し

フランスのパリの新聞社を襲撃した容疑者の1人と強いつながりがあったとみられる中東イエメンのアルカイダ系の組織が、インターネット上で、発行している機関誌で、襲撃で殺害された新聞社の編集長を、「イスラム教に対する犯罪」を犯したとして、暗殺の対象と名指ししていました。
この機関誌は、イエメンを拠点に活動する「アラビア半島のアルカイダ」が発行している『インスパイア』で、おととし春に発行された第10号には、「イスラム教に対する犯罪」を犯したとして、欧米のジャーナリストや作家など11人を「お尋ね者」と呼んで、顔写真などを掲載しています。
この中には、7日に襲撃されたパリの新聞社「シャルリ・エブド」で編集長を務めていたシャルブ氏も含まれています。
このほかに、小説「悪魔の詩」でイスラム教を冒とくしたとして、イランの最高指導者だったホメイニ師からも死刑宣告を受けたイギリスの作家のサルマン・ラシュディ氏や、預言者ムハンマドの風刺画を描いたスウェーデンの漫画家なども含まれています。
新聞社を襲撃した容疑者の1人は、フランスのテレビ局のインタビューに対して、「イエメンで活動するアルカイダ系の組織の指示を受けて送り込まれた」と話していることから、シャルブ氏が暗殺の対象として機関誌に掲載されたことと襲撃事件の関連についても捜査が進められています。

関連ニュース

このページの先頭へ