作家の故吉行淳之介さんや俳優の吉行和子さんの母で美容師の吉行あぐり(よしゆき・あぐり)さんが5日、肺炎のため死去した。107歳だった。葬儀は密葬で営まれた。

 岡山市出身。15歳で作家・吉行エイスケさんと結婚。上京後、山野千枝子さんの指導を受けて美容院を開設した。戦争で中断したが、戦後に再開。戦争で夫を亡くした女性らに美容技術の指導をし、90歳を超えても現役の美容師として働き続けた。

 1940年に死別したエイスケさんとの間に、淳之介さんと故理恵さんの芥川賞作家2人、長女の和子さんをもうけた。自伝「梅桃(ゆすらうめ)が実るとき」をドラマ化したNHK連続テレビ小説「あぐり」(97年)で話題になった。

 和子さんは、「107才まで元気に生きました。幾つもの時代幾つもの難事を乗り越えてきた、母は、呆(あき)れるくらい、楽天的で、頑固ものでした」とコメントを寄せた。