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【仏紙銃撃テロ】
「過激派と同一視されるのが怖い」 心閉ざすパリのイスラム社会
地下鉄駅近くのカフェバーで、競馬の賭けに興じる男たちに事件の感想を聞いたが、誰も答えない。アルジェリア系という男性(56)が「みんな違う思想を持っている。その話はここではしないのさ」と語った。隣の男性は無表情で沈黙したままだった。
隣接する商店やアラビア語の本などが並ぶ書店、街角でも声をかけたが、アフリカのモーリタニアから来たという黒人のイスラム教徒の若者たちだけが「悲しい事件だ」と話していた。
報道によると、インターネット上では8日、同国の地方都市のホームページがハッキングされ、「フランスに死を」「シャルリーに死を」などと書き込まれる事件も起きた。
全人口の約1割に当たる600万がイスラム教徒というフランス。銃撃事件の現場に近く、市民たちが集会を開く共和国広場で出合った地元記者は、「今回の事件の犠牲者はテロリストに殺害された12人と、フランスに住むイスラム教徒たちだ。烙印(らくいん)を押された彼らの傷を癒すことは当分できないのではないか」と話した。