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【仏紙銃撃テロ】
「過激派と同一視されるのが怖い」 心閉ざすパリのイスラム社会
【パリ=内藤泰朗】フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブド本社の銃撃事件を受けて8日、イスラム教徒が多く住むパリ北東部のベルビルを訪れた。大半の人が堅く口を閉ざす中、取材に応じた数少ない人たちは、「襲撃した過激派とイスラム教が同一視されるのが怖い」などと恐怖感を語り、将来の暮らしに対する底知れぬ不安をにじませていた。
ベルビルはきらびやかに街中が飾られたパリ中心部とは異なり、雑多なイスラム系の商店が軒を連ねる下町の雰囲気だ。ひげを生やし、イスラムの服装に身を包んだ人たちが静かに行き交っていた。
地元のモスク(イスラム寺院)では、写真を撮影しようとすると警備の男性に制止された。
チュニジア出身という男性は、「マスコミは平和なイスラムと過激派とを一緒に扱い、都合のいい物語をつくる。政治家も警察も信じられない。誰に話を聞いても無駄だ」と吐き捨てるように言った。
男性の表情からは、緊張感といらだちが伝わってきた。今回のような事件が将来も起きると思うか尋ねると、「分からないが、何もいいことは起こらない」と強調した。