悪意を込めてハマダーを『水曜日のダウンタウン』
番組の演出を務めているのは、過去に『クイズ☆タレント名鑑』『テベ・コンヒーロ』『Kiss My Fake』などを手掛けてきた藤井健太郎。彼の番組はいずれも清く正しく悪趣味で、テレビ東京の佐久間“ゴッドタン”宣行、テレビ朝日の加地“ロンドンハーツ”倫三と並び称する声も、あるとかないとか。その良くも悪くも振り切れた手腕が故か、氏の番組スタッフを“地獄の軍団”、番組のことを“クソ番組”と呼ぶ声もある。……どんなバラエティ番組だよ。
1月7日放送の『水曜日のダウンタウン』。
新年一発目の放送ながら、【天龍源一郎以上のハスキーいない説】【バレーボールマシン バラエティでしか使っていない説】【「ざます」をマジで使っている金持ちなどいない説】など、とても大衆向けとは思えないニッチな企画揃いだった、この回。その中でも、特に目を引いたのが、この企画だった。
【ハマダー生存説】
“ハマダー”とは、90年代に流行したダウンタウン・浜田雅功の服装を手本にしたファッションスタイルのことである。当時、同様に一世を風靡した“アムラー”や“シノラー”は、そのモデルとなった安室奈美恵・篠原ともえがそれぞれファッションスタイルをシフトチェンジしている=本人が止めているからそれを手本にする人も存在しないと思われるが、浜田は今でも変わらずハマダーファッション(スカジャンに古着のジーンズ)を続けているので、その影響を受けているハマダーは今も存在するのではないか、とプレゼンターの小藪千豊は力説する。
この説を受けて、相方の松本人志が大ハッスル。ここぞとばかりに浜田をイジり始める。
松本「楽屋でも「オレはええけどハマダーはどうかな……?」」
浜田「言わへん言わへん!」
フットボールアワー後藤「永ちゃんですやん!」
松本「「ハマダーたちは納得するかな?」」
浜田「いやいやいやいやいや……(笑)」
小籔「それぐらい勢いがありました!」
そして番組は、“ハマダー生存説”の検証に乗り出す。
検証方法は「ハマダーの疑惑がある一般男性にファッションの参考にしている有名人を聞いて「浜田」と答えるかどうか」。浜田の名前が出た時点で説は立証されたことになる。
番組スタッフはハマダーの基本アイテムである、スカジャンを専門に取り扱っている店が立ち並ぶアメ横に向かう。スカジャンを着ている一般男性を対象に調査を開始するが、「『傷だらけの天使』の水谷豊」「江口洋介」などの名前が挙がるも、ハマダーは見つからず。そこで過去のハマダーに関する記事を確認すると、「ハマダーのファッションはストリート系カジュアルの大人版」「ハマダーファッションは体形に自身がなくてもかっこうよく着られる」などの記述を発掘。それらに該当する人たちも調査対象に加え、取材を続ける(なお、過去のファッション誌を調べ直すくだりで、浜田が口にしたと思われる「真剣なつっこみは、あいつのために残してある」という一文がデカデカと掲載されたインタビュー記事が目立つように映し出される。このさり気ない悪意のテクニックが素晴らしい)。
すると、ある体形に自信の無さそうな一般男性に遭遇。
スタッフ「ファッションの参考にしている芸能人って、いたりします?」
一般男性「昔のダウンタウンさんとかは、けっこう参考にはしてるすけど……」
この男性の発言にスタジオは大盛り上がり。遂にハマダー発見か!?と思いきや、
スタッフ「どちらを参考にしてますか?」
一般男性「松本さんとか、けっこうオシャレですもんね」
なんと、男性が参考にしているのは、浜田ではなく松本だったのである。
これには、先ほどまで浜田をイジっていた松本も「これはアカンわ……(笑)」「恥ずかし! 恥っず!」と大慌て。一方の浜田は「はーっはっはっは!」と笑いが止まらない。絵に描いたような逆転現象である。そんな松本へ更に追い打ちをかけるように、意地悪なナレーションが流れる。
ナレーション「和柄を愛するこの男性は、なんと松本のファッションを真似する“ヒトシー”だった!」
その後の調査でハマダーは無事に発見される。が、スタジオは“ヒトシー”の話題で持ち切りだ。
浜田「いやいや……まあ、あんな格好してたら、一人や二人はおるでしょ。そんなことより“ヒトシー”が凄かったよ!」
小籔「まあ、本当に、“ハマダー”は生存していた。でも、“ヒトシー”も発見された」
浜田「そうそう! これなかなかの発見でしょ!」
小籔「ですよねえ! まあ、松本さんも、「ヒトシーはどう思うか分かれへんけどな」みたいなことはやっぱり……」
この状況に、もう笑うしかない松本。
松本「なかなか、このVはあれですよね、藤井の悪意を感じますよね」
天下のダウンタウンですら悪意でイジり倒してしまう『水曜日のダウンタウン』に、これからも目が離せない。