【パリ=竹内康雄】パリで起きたフランス週刊紙銃撃事件に関連し、仏治安当局は9日、逃走していたアルジェリア系フランス人の兄弟が立てこもるパリ北東の印刷工場と、別の男が籠城していたパリ東部の商店に突入、容疑者3人を射殺した。人質4人も命を落とした。7日に発生したフランスのテロは、合計17人の市民の犠牲を出して終結した。
オランド大統領は事件終結を受けて国民向けに演説し、「フランスは勇敢に戦ったが、(テロリストの)標的になっている脅威は終わっていない」として国民に引き続き警戒するよう呼びかけた。バルス首相は仏テレビ番組で「容疑者を射殺するしか解決の方法はなかった」と理解を求めた。
立てこもり事件は9日に立て続けに発生。パリ北東部30キロの地点では7日に仏週刊紙襲撃事件を起こした兄弟が人質1人を取って抵抗。パリ東部のユダヤ系商店には、8日にパリ南部モンルージュで女性警官を銃撃して死なせた男が複数の人質を取って立てこもった。
仏特殊部隊は9日午後5時すぎ(日本時間10日午前1時すぎ)に両地点に突入。激しい爆発音や銃声が響くなか、容疑者3人を射殺した。北東部では人質は解放されたものの、パリ東部では人質4人が犠牲になったほか、重傷者もいる。射殺されたのは兄弟がサイド・クアシ(34)、シェリフ・クアシ(32)の両容疑者で仏週刊紙襲撃事件の実行犯。パリ東部で籠城したのがアメディ・クリバリ容疑者(32)。
シェリフ容疑者とクリバリ容疑者は過去にイスラム過激派メンバーの脱獄計画に関わったことから顔見知りだったとみられる。シェリフ容疑者とクリバリ容疑者は射殺される前にそれぞれ仏テレビ局に電話。シェリフ容疑者は「イエメンのアルカイダからきた」と主張。クリバリ容疑者はイスラム武装組織でつくる「イスラム国」への忠誠を語った。
仏当局によると、実行犯はすべて死亡したとみられるものの、事件に何らかの形で関与した人物が逃走している可能性がある。クリバリ容疑者が立てこもっている最中に、仲間に電話して他の場所を攻撃するよう求めていたとの証言もあり、治安当局は事件の全容解明をめざす。
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