仏捜査当局“一連の事件には関連性”1月10日 11時57分
フランスで9日に発生した2つの立てこもり事件が制圧されたのを受けて、捜査当局は、今月7日パリの新聞社が襲撃されて以来相次いで発生した一連の事件にはすべて関連性があるとみて、背後関係を捜査することにしています。
パリの新聞社を狙った乱射事件の実行犯とされるサイド・クワシ容疑者(34)と弟のシェリフ・クワシ容疑者が(32)9日、パリから北東におよそ40キロのダマルタンアンゴエル近くにある会社に立てこもった事件で、警察は日本時間の9日未明、2人との銃撃戦の結果、いずれも殺害しました。
また、この10分余りあと、パリ東部のユダヤ教徒向けの食料品店で起きていた別の立てこもり事件でも特殊部隊が店の中に突入し、人質を取って立てこもっていたアメディ・クーリバリ容疑者を(32)殺害しました。
一連の事件についてパリ検察庁のモーラン検事が記者会見し、このうちダマルタンアンゴエルの立てこもりでは、2人の容疑者が入り口のドアの隙間から銃撃を始めたため、警察側がこれに応戦する形で銃撃戦となり、2人を殺害したことを明らかにしました。
一方、食料品店の立てこもりでは現場から4人の人質の遺体が見つかり、遺体の状況などから、銃撃戦ではなく容疑者が店に押し入った際に殺害されたとの見方を示しました。
そのうえでモーラン検事は、容疑者どうしが以前から知り合いで親密なつながりがあったとして、新聞社の襲撃事件を含めた一連の事件にはすべて関連性があるとみて、一つの事件として捜査を進める方針を示しました。
特に、現場からは手投げ弾や自動小銃など大量の武器が見つかったことから、捜査当局では、武器の入手経路や外国からの支援がなかったかどうかなど背後関係を調べるとともに、容疑者とつながりがあるとみられ、逃走している26歳の女の行方を捜しています。
市民 安ども複雑な心境
2つの立てこもり事件が終わったことを受けて、現場近くの広場には、大勢の市民が訪れ、犠牲者への追悼の意を表していました。
12人が犠牲となった新聞社、「シャルリ・エブド」に近いレピュブリック広場には、9日夜、花を手にした市民が次々と訪れ、ろうそくをともしていました。
訪れた市民は、2つの立てこもり事件が終わったことに安どした様子でしたが、罪を問われるべき容疑者たちが死亡したことに複雑な思いを抱く人も少なくありません。
市内に住む女性は、「犯人たちが死亡し、これ以上、犠牲者が出ないことに安どしています。でも本来、犯人たちは法の裁きを受けるべきで、素直に喜べません」と話していました。
広場には、夜遅くなっても多くの市民がいて、中央にある像の回りには、多くの花と共に言論の自由を支持する絵やメッセージが数多く置かれていました。
在外米人に警戒呼びかけ
フランスで起きた一連の事件を受けて、アメリカ国務省は9日、海外のアメリカ人に対して、テロの脅威が続いているとして改めて警戒を呼びかけました。
このなかで国務省は、ヨーロッパでは、依然としてイスラム過激派組織がアメリカ人や関連施設に対するテロ攻撃を計画しているという情報があるほか、組織には属していないものの、過激派組織の思想に影響された単独犯によるテロの脅威も続いているとして警戒を呼びかけています。
国務省は去年、イスラム過激派組織「イスラム国」がアメリカ軍の空爆に対して報復を警告したことから、海外のアメリカ人に対し、すでに警戒を呼びかけていますが、フランスの事件を受け改めて警戒を強めるよう促した形です。