焦点:仏銃撃事件で炎上か、イスラムめぐる欧州「文化戦争」
<問われる多文化主義>
「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA)」と名乗る団体は、ドイツがイスラム教徒によって侵略されていると主張し、ドレスデンで毎週、最大1万8000人が参加する反移民デモを開催している。
メルケル首相ら政界のリーダーは国民に対し、反移民デモとは距離を置くよう呼びかけ、首相はデモ主催者を「心に憎しみを宿している」と強い調子で非難している。
ドイツでのPEGIDAの台頭は、反ユーロを掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進も関係している。そのPEGIDAは仏紙銃撃を、自分たちの考えを正当化する事件として飛びついた。
フェイスブック上で同団体は「イスラム教徒がフランスで示したのは、自分たちに民主主義の能力がなく、その代わりに暴力と死を解決策と考えていることだ」と主張。さらに「われわれの政治指導者たちは反対のことを信じ込ませたいようだが、ドイツでもまずこうした悲劇が起きなくてはならないのか」と書き込んだ。
昨年11月にドイツで行われた調査では、イスラム教徒ではない国民の57%が、イスラムによる脅威を感じていると答えていた。
英国では、反欧州連合(EU)を掲げる英独立党(UKIP)の党首ナイジェル・ファレージ氏が、仏紙襲撃事件は、自国の中に存在する敵勢力によって起こされたと主張。LBCラジオに対し「英国は他文化から来た人たちに自分たちの文化の中にとどまるよう奨励し、社会に完全に溶け込まないよう仕向けていた」と語った。
この発言に対しキャメロン首相は、自身も多文化主義を失敗と呼んで移民の制限を求める立場だが、今は政治ゲームとする時ではないと非難した。 続く...