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【神奈川】

<平和って>住みよい町みんなで かわさき市民しきん設立準備会代表 広岡希美さん(39)

「楽しく暮らしやすい町を一緒につくっていけたら」と話す広岡さん=川崎市中原区で

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 「住みよい町をつくる活動は、平和とつながっている」。まちづくり支援のNPO「ぐらす・かわさき」スタッフの広岡希美さん(39)はそう考えている。

 例えば、新鮮で安心な野菜を買える店や息抜きに立ち寄れる場所がある、困った時に近所で手を差し伸べあう町。そんな住みよい町は、そもそも平和がなければ成り立たない。平和な世の中の縮図である。

 だからこそ、平和も住みよい町もみんなで考え、行動してつくっていかなければならない。「まちづくりはとてもとても小さな活動だけれど、平和を守る大切な活動の一つだと思う」。柔らかな表情に熱い思いがみてとれる。

 思いの実現に今、「かわさき市民しきん」設立に向けた準備を進めている。地域の課題や問題に取り組む市民を、その取り組みに賛同する市民が資金を出して支える試みで、いわばお金の地産地消だ。

 「もっと地域にいろいろなサービスがあればいいのに」

 ぐらす・かわさき事務局で、十年あまり市民活動を支援する中で感じていた。ただ、市民活動にはお金がかかる。多くは行政の補助金などに頼っているが、活動の幅は制限される。「だったら、活動に賛同する人たちが資金を支援する形をつくればいい」

 高齢者や障害者を見守る仕組み、子育て世代が情報を交換できる場、環境やエネルギー問題などを一緒に考えるセミナー…。資金のハードルが低ければ、今よりももっとサービスが地域に増えるはずだ。寄付先の団体がイベントの知らせや活動報告を送ることで、寄付した側も地域に参加している意識を持て、一緒に地域をつくる一体感が生まれるのでは。

 二〇一二年、福島第一原発事故の避難者支援活動などの六団体で試行し、規模を広げようと一四年六月、思いを共有する大学教授やNPO法人スタッフら九人で設立準備会を立ち上げた。今年四月の財団法人化を目指し、基本財産と当初運営資金分の五百万円の寄付を募って駆け回る。

 自身、三人の子育てを通じてまちづくりに関心を持った。近所に自分たちを見守ってくれる頼もしい「おじさん」「おばさん」「仲間」がいた。転出入の多い川崎で地縁がなくても、住んでいる人がつながりや愛着が持てるようになることを願う。

 「地域とつながる良さを知らなきゃもったいない」。小さいけれど、大切な「平和」の種が芽吹きつつある。 (平木友見子)

 =おわり

 <ひろおか・のぞみ> 1975年、山形市生まれ。2003年、NPO法人「ぐらす・かわさき」事務局のスタッフになる。14年6月、かわさき市民しきん設立準備会を発足させ、代表を務める。川崎市多摩区在住。

 準備会は設立資金を募っている。1口5000円で、できれば2口以上で。問い合わせは同準備会=電044(872)9325=へ。

 

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