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勉強しても結果が出ない中学生「3つの傾向」

東洋経済オンライン 1月8日(木)6時0分配信

 家庭でしっかりと問題を共有し、守らなければならない決め事を作ることで、未然に問題を防げることも少なくないはずです。

■ 重要性の判断をしないという致命的ミス

 では次に、2つ目の理由についてお話します。それは「勉強方法に問題がある」ということです。簡単に言ってしまえば、勉強している大半の時間は無駄なことばかりであるということです。

 非常によくあるのが、テストに出ない部分ばかり勉強していて肝心の部分をおろそかにしているということです。これまで学校のテスト問題を大量に見てきましたが、テストというのは、教科書の頻出部分の上位20%を勉強すれば、80%得点できるように作られています。

 試験によく出る部分をランク分けし、出る順にA、B、Cになるとします。Aを覚えると80点。AとBを覚えると90点。そしてCまで覚えると100点になるということです。

 CまたはBばかりを覚えていて勉強しているつもりになっても、点数はいつまでも取れません。よく要領のいい子はいい点数を取るといいますが、彼らはAランクを覚え、そして次に時間があればBランク、そしてさらに時間があればCランクを覚えるのです。

 ではランクを見切るにはどうすればいいでしょうか。一言で語ることは難しいのですが、あえて言うとすれば、「要するに何か? 」という問いに対する部分がAランクです。それを説明するために必要な付属部分がBランク、さらに発展的に重箱の隅をつつくような難しく細かいことがCランクです。

 樹木でいえば、幹と大枝がAランク、小枝がBランク、葉っぱがCランクです。何でも、「要するにどういうこと? 」という発話をすると、おのずと核心をつかめてAランクを見いだすことができるようになります。

■ 「期待値」に潜む落とし穴

 では、「勉強しているのに成績が上がらない」最後の3つ目の理由です。それは「期待値が高すぎる」ということです。

 メール対応も問題がない、勉強方法も悪くない場合、それでも成績が上がらない理由は、この期待値が高すぎる、という問題があることを疑ったほうがいいでしょう。

 勉強をすれば確実に力はついているのですが、直線的に点数が上がっていくと錯覚しているため、時間が経てば経つほど、期待値と実際値が懸け離れていきます。

 人間は、努力している自分をどうしても認めたいので、実際の伸びよりも高めの結果を期待してしまいます。期待したとおりにならないと、人間は「上がっていない! 」と思い、それが焦りを生み、マイナス発言を引き起こし、行動に影響が出てきます。またこれが皮肉なもので、「全然上がらない!  もうやめた! 」と思った次の瞬間から上がったりします。

 知識の習得や考える力は徐々についていき、あるライン(臨界点)に達すると急激に能力が上がるのです。スポーツの練習でもそうでしょう。会社で働くときでも力がついてきたと思うのは、一回りして仕事が慣れて全体像が見えてからでしょう。

 しかし、初めのうちも努力しているのですから力自体はついているのですが、期待値がそれを邪魔してしまい、結果が出ないという錯覚を起こしていると、事前に知っておくといいでしょう。

 岩谷さんの場合、受験勉強に本格的に入って数カ月しか経っていないかもしれません。ですから、本当に目に見えて力がついたと感じるのは試験直前、これからである可能性が大いにあります。焦ることなく、今の努力をそのまま続けていかれるといいでしょう。

石田 勝紀

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最終更新:1月8日(木)16時45分

東洋経済オンライン

 

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