アフガニスタンで米軍ヘリ撃墜、シールズ・チーム6含む38人死亡
CNN.co.jp:アフガンで国際部隊ヘリ墜落、米特殊部隊員ら38人が死亡
http://www.cnn.co.jp/world/30003609.html
カブール(CNN) アフガニスタン中部ワルダク州で6日未明、国際治安支援部隊(ISAF)のヘリコプターが墜落し、米兵30人と民間人の通訳1人、アフガン兵7人が死亡した。アフガンで一度に出た米軍の死者としては2001年以降最悪。反政府武装勢力タリバーンは、ロケット砲で撃墜したとする犯行声明を出した。
墜落したのは大型輸送ヘリのCH47チヌーク。死亡した米兵の中には、海軍のエリート部隊「シールズ」のメンバー22人が含まれている。軍当局者によると、その大半は国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦を実行した部隊に属しているが、同一のメンバーではない。ヘリは、武装勢力との銃撃戦で動けなくなっていた部隊への援護作戦を行っていたという。
Helicopter Shot Down: 25 Navy SEALs Dead in Crash in Afghanistan - ABC News
http://abcnews.go.com/International/helicopter-shot-25-navy-seals-dead-crash-afghanistan/story?id=14245387
アフガニスタンで、戦闘中の地上部隊の増援として現場に急行していた米軍ヘリが撃墜され、ネイビー・シールズ22人を含む米軍兵士30人が死亡した。政府関係者によると、死亡したシールズ隊員の大半はビンラディン襲撃作戦を担当したシールズ・チーム6に所属していた。
政府関係者によると、墜落したチヌークはアフガニスタン東部ワルダク州で戦闘を行っていた地上部隊を支援するための緊急対応部隊を運んでいた。墜落後、地上部隊は戦闘を中止し、墜落現場周辺の安全を確保した。
7月25日にも1機のチヌーク・ヘリコプターがタリバンによるロケット弾攻撃を受けて不時着し、2名の兵士が負傷したが、今回は乗員全員が死亡した。
今回以前に一日の戦闘による犠牲者数が最多だったのは、クナール州で16人の兵士が乗ったヘリコプターが撃墜された2005年6月28日。
Copter shot down, killing 30 US troops, 8 Afghans - Yahoo! News
http://news.yahoo.com/copter-shot-down-killing-30-us-troops-8-042833549.html
死亡した22人のシールズ隊員の中にビンラディン襲撃作戦に参加したものはいなかったが、同じシールズ・チーム6に所属していた。チーム6の投入は、ターゲットが反政府武装勢力の中でも高位の人物だったことを示唆している。
シールズを含む特殊作戦部隊は、反政府武装勢力の主要人物を狙い撃ちする戦略の中心を担っており、今後一般部隊の撤収が進むに連れて、特殊作戦部隊への依存度は高まっていく。
今回の攻撃で、首都カブールへの戦略的アプローチを左右する重要な州においてタリバンの士気が上がることが予想される。
今回の事件の発端となった米軍による夜間攻撃が行われたのは、カブールから97キロ南西にあるワルダク州サイード・アバド郡タンギ・ジョイ・ザリン地区。山々の山頂が木々に覆われているために反政府武装勢力の隠れ家になっており、NATO軍の度重なる攻撃にも関わらず、タリバンの基地として使われ続けている。
タリバンのスポークスマンによると、ヘリコプターはタリバン兵士が集まった家を襲撃中にロケット弾によって撃墜された。ヘリの残骸は墜落現場周辺に散らばっているという。
ワシントンの政府幹部は墜落原因の調査が続いていることを理由に匿名で証言し、墜落原因がタリバンによる攻撃だったことを認めた。
アメリカが主導する連合軍の発表によると、CH-47チヌークが撃墜されたのは6日未明で、米軍兵士30人とアフガニスタン人通訳1人、アフガニスタン軍兵士7人が死亡した。現職の米政府関係者と元政府関係者が語ったところによると、死亡した米軍兵士の中にはネイビー・シールズ22人と空軍戦闘統制員3人、軍用犬とその訓練士が含まれる。
今回の撃墜により、今年に入ってからの連合軍兵士の死者数は365人となり、今月の死者数は42人となった。
今回の犠牲者数は、シールズ・チーム6(正式名称はDEVGRU:海軍特殊戦開発グループ)にとって発足以来最悪の数字となった。シールズ・チーム6は、3000人の隊員を擁するエリート部隊であるネイビー・シールズの中でも、さらに最高のチームとして知られている。
今回一度に多くのシールズ隊員が失われたことで、アフガニスタンにおける米軍特殊部隊の活動に一時的な制限がかかると見られる。しかしイラクからの特殊部隊の撤収が進んでいるため、予備兵力の調達には支障がないものと思われる。
Copter Downed by Taliban Fire - Elite U.S. Unit Among Dead - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2011/08/07/world/asia/07afghanistan.html
事件現場となったタンギ渓谷はワルダク州とロガル州の州境を横切る地域で、首都カブールを目指す反政府武装勢力の活動により、過去2年間で治安が悪化していた。この地域を担当する第10山岳師団第4旅団戦闘チームの作戦担当者や情報担当者によると、タンギ渓谷は米軍の接近が困難で反政府武装勢力の避難場所になりつつあるという。現地政府関係者によると、この山岳地帯は急勾配の斜面と乾燥した頁岩が小道や脇道に縁取られていて、ロガル州とワルダク州を行き来するタリバンに長年利用されている。
Afghanistan: Taliban Helicopter Attack Kills 38 US And Afghan Troops As Nato Chinook Shot Down | World News | Sky News
http://news.sky.com/home/article/16044868
現場の村に住むムハンマド・サベールはヘリが降下するのを見たと語る。「家にいたら、1機のヘリがタリバン司令官の家の屋根に乗るのが見えた。そして銃撃が始まった」
「そのヘリはしばらく後に飛び立ったが、すぐに降りてきて、そのまま墜落した。他にも複数のヘリが上空を飛んでいた」
気になる点が3つ。
- 米軍兵士30人が死亡したと報道されているが、シールズ22人、空軍戦闘統制員3人、ヘリの乗員5人、軍用犬の訓練士1人が死んだのなら、合計31人になる。1人生存者がいるのか、それともヘリの乗員が定員より1人少ない4人だったのか。重量オーバーのためにドアガンナー(防御用の機関銃手)を降ろしたりしていると最悪だ。
- 戦闘機パイロット並に貴重なシールズ・チーム6を緊急対応部隊に使っているのが気にかかる。本来はビンラディン襲撃作戦のように、事前に十分な情報収集と訓練を行った上で、ハイ・バリュー・ターゲットにだけ使用されるエリート部隊なのに、味方の支援要請を受けて事前偵察もなしに殴り込みをかける緊急対応部隊として使うとは。
1980年代のアフガニスタン紛争でアメリカ側の戦略立案を担当したCIA要員マイケル・ヴィッカーズ(現情報担当国防次官)は、ソ連がエリート部隊であるスペツナズを投入した際にこう述べている。
状況が悪くなり、レポートも完敗の響きをもってくると、ヴィッカーズはガストを安心させるために傍らにいた。どう考えてもソ連は最終的に動くだろう、と彼は説明した。スペツナズに関して言えば、ヴィッカーズは彼らの導入には希望の光が見えると示唆した。
ガストの個人教師の役割を担った彼の説明によれば、まともな軍なら、ほぼ通常レベルの戦いに最も貴重な兵士を投入することなどあり得ない。スペツナズ兵士は軍隊のなかで、いうなればジェット戦闘機パイロットに匹敵する。サラブレッドを単なる歩兵扱いはしないだろう。「あなたは私を急襲の指揮をとらせるためにカブールの駐屯地に送り込んだりしないでしょう」彼は続けた。「無駄だからです。彼らには必死にならなければならない理由があるのですよ」
(ジョージ・クライル『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 下巻 p.129) - 2005年6月28日にもシールズ隊員が乗ったMH-47チヌークがRPGで撃墜されて16人が死亡する事件が起きている。あのときも地上部隊の増援として送られた緊急対応部隊が、地上制圧が不十分なまま強行着陸して撃墜されたのだった。
Operation Red Wings - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Red_Wings