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 強風で倒壊して再建できないとみられていた岩手県大槌町吉里々々の「風の電話ボックス」が9日、一転して修繕を目指すことになった。心配して駆けつけた大工が木枠や土台の状態を調べた結果で、持ち主の佐々木格さん(69)は「素人目ではだめと判断していたが、修理できると聞いてありがたい」と喜んだ。

 風の電話ボックスは風雨にさらされ、足元部分が一部弱っているが、大工は補修できると判断した。作業は10日に予定。完全に壊れた扉については後日、新たに作ったうえで取り付ける方針という。

 佐々木さんは「全国のみなさんから支援の申し出をいただいているが、修理して再建できると聞いて安心した」と話している。

 風の電話ボックスは佐々木さんが自宅庭に設置していた。震災の遺族らが、線のつながっていない黒電話を通して、会えなくなった「大切な人」に話しかける場として、今も訪れる人が絶えない。強風の吹いた7日から8日にかけて、倒れて壊れていた。(山浦正敬)