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 「困る」は、小さく「○」と書く。相手が話す内容を独特の文字を使い素早く書きとめるのが、速記者の仕事だ。国会や裁判などで欠かせない存在だったが、録音機器の普及で今では存亡の危機にある。しかし、130年の歴史を持つ日本の速記を受け継ごうとする若い世代もいる。

 創業60周年の老舗速記会社「大和速記情報センター」(東京)で、入社5年目の瀬尾真菜さん(24)もその一人だ。同社に55人いる速記者の9割を女性が占める。1分間で280字書きとれる瀬尾さんは、アナウンサーが読むニュースは漏らさず速記できる。「カラオケで友達が歌う歌詞を書きとっていくと、みんな驚いてくれます」と笑う。

 仕事の現場は、自治体の議会や株主総会、雑誌のインタビュー、講演など。議会の場合、市長や議員の名前を頭に入れ、過去の議事録も読み込む事前の準備が欠かせない。

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