関電、原発安全協定で方針変えず 滋賀県や市町と協議
福井県にある原発の安全対策や防災について滋賀県と市町、専門家が事業者と協議する会議が8日、大津市内であった。高浜原発3、4号機再稼働に向けて、30キロ圏外の自治体とも安全協定を結ぶ意向を示した関西電力の八木誠社長の発言について、関電の担当者は「協定か約束かというかたちはあるが、内容に応じて(締結)できる」とし、立地自治体の隣接地かどうかで内容に差をつける従来の方針に沿って、協議に応じる考えを示した。
会議では県や高島市の担当者が、6日の八木社長の発言内容について質問した。関電の勝山佳明・原子力事業本部副本部長は「30キロを超えた地域にもプラントの安全性はしっかり説明する必要があり、要請があれば拒絶せず、意見交換はするということ」と説明した。県側が「立地か隣接かによる協定という基本方針から一歩踏み出したのか」と尋ねたが、「現時点では従来の考えで運用している」と述べるにとどまった。
一方で、勝山副本部長は「30キロ圏の防災対策と協定の話は切り分けて考えないと混乱する」として、国が緊急防護措置区域(UPZ)としている30キロ圏と、協定対象の自治体とは結びつかないとの考えを示した。
これに対して京都大防災研究所の林春男教授が「住民を預かる自治体がどう考えるかが防災。その言い方は僭越(せんえつ)な感じがする」と批判し、高島市の古川茂樹防災監も「国の指針で30キロに入った地域に情報を流すのは大事で、その表れとしての協定。別という考えは理解できない」と指摘した。
会議では関電が高浜3、4号機の安全対策を説明し、日本原子力発電、日本原子力研究開発機構も敦賀市内の原発や高速増殖炉もんじゅの現状を報告した。
【 2015年01月08日 22時48分 】