仏週刊紙テロ:容疑者3000人態勢追跡 関係者複数拘束
毎日新聞 2015年01月08日 21時49分
【パリ宮川裕章、斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」のパリにある本社で7日に男らが銃を乱射し、計12人を殺害した襲撃事件で、仏捜査当局は8日、容疑者3人のうち、逃走している兄弟と関係があるとみられる複数の人物を拘束した。バルス首相が明らかにした。捜査当局は7日深夜(日本時間8日朝)に仏北部の警察に出頭したハミド・ムラド容疑者(18)の事情聴取を続けるとともに、約3000人態勢で兄弟の行方を追っており、AFP通信によると、北部エーヌ県で8日朝に兄弟が目撃されたことを確認した。
兄弟はサイド・クアシ(34)とシェリフ・クアシ(32)の両容疑者。過激派組織に関与して過去に訴追されており、テロ要注意人物として当局の監視対象に入っていた。逃走に使われ乗り捨てられた車から見つかった兄の身分証が容疑者特定につながった。
報道によると、兄弟はパリでアルジェリア移民の両親の下に生まれ、幼少期に両親が死亡。弟は仏西部レンヌで過ごしていたが、兄との交流を続け、時期は不明だが、パリで一緒に住むようになった。
2005年1月、仏国内の過激派組織を捜査当局が解体した時、兄弟は組織に関与したとしてパリで逮捕された。家宅捜索で弟のシェリフ容疑者がシリア行きの航空券を所持していたことが判明、シリア経由でイラク入りし、対米テロ戦に参加する意図があったとされている。シェリフ容疑者は08年、フランス人をイラクのアルカイダ系分派組織に送り込んだとして18カ月の執行猶予付き有罪判決を受けた。サイド容疑者は証拠不十分で無罪だった。当時の弁護士はフィガロ紙に「人生に迷った若者が過激派組織に出会い、自分にとって重要なものと考えてしまったのだろう」と語る。
仏メディアが報じた目撃証言によると、7日午前11時半ごろ、覆面をかぶり、銃を持った2人組の男が同社の本社建物に押し入り、地上階の受付にいた男性2人に同社であることを確認した後、発砲し、1人を殺害した。男らは3階の編集室に向かい、「偉大な神よ」「預言者の敵だ」と叫びながら銃を約30発連射した。同紙は毎週水曜日の午前10時から編集会議を開いており、男らはこの編集会議を狙った可能性が高い。