高校教科書:数研出版「従軍慰安婦」「強制連行」を削除

毎日新聞 2015年01月09日 11時26分(最終更新 01月09日 12時22分)

数研出版の高校教科書の主な記述の訂正
数研出版の高校教科書の主な記述の訂正

 ◇公民科の「現代社会」2点と「政治・経済」1点

 教科書会社「数研出版」(東京都)が昨年11月、高校の公民教科書から「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述を削除する訂正申請を文部科学省に行い、同12月に認められたことが分かった。訂正が反映された教科書は今春から使われる。同社は訂正理由について「今の時点ではお話しできない」としている。

 文科省によると、訂正された教科書は公民科の「現代社会」2点と「政治・経済」1点で、いずれも戦後補償に関する記述。「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述が削除された。申請書では「誤記」としている。同省によると、「誤記」の場合、事実関係の変化だけではなく、記述を分かりやすくするために変更する場合なども含まれる。

 下村博文文科相は9日の閣議後の会見で「今後も発行者から訂正申請が出てきた場合、適切に対応する」と述べた。

 文科省は昨年1月、近現代史を扱う際に政府見解を尊重するよう求める内容に教科書検定基準を改定したが、適用されるのは現在検定中の中学校教科書からで、今回は検定済み教科書を対象にした通常の訂正申請に基づく手続きとなる。【三木陽介】

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