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 仏週刊新聞「シャルリー・エブド」の襲撃事件の容疑者には、イスラム過激派に関わっていたとみられる過去があった。凶行が相次いで起こるなかで、欧州は揺れている。

 風刺漫画家ら12人を短時間で殺害したあと、容疑者は小型車で逃走中に、乗用車と衝突。その後、別の乗用車を奪い、逃げ続けている。容疑者はどんな人物なのか。

 仏当局によると、3人の容疑者のうち、主犯格はサイド・クアシ容疑者(34)と、シェリフ・クアシ容疑者(32)の兄弟だという。

 仏メディアなどによると、クアシ兄弟はパリ北西部のアルジェリア系の家庭に生まれた。

 両容疑者は2005年、「聖戦」の戦闘員を訓練したり、イラクに送り込んだりする活動に関わったなどとして逮捕されたという。逮捕後のシェリフ容疑者の自宅の捜索では、シリアやイラクに行く航空券やカラシニコフ銃が押収された。

 サイド容疑者は釈放され、訴追されたシェリフ容疑者は08年、懲役刑(3年、執行猶予付き)の判決を受けた。勾留中、周囲に打ち解けることはなく、黙々と体を鍛えていたという。仏メディアによると、10年ごろには、1990年代半ばのパリ地下鉄爆破テロ事件関係者を脱獄させる計画に関与した疑惑も浮上し、捜査当局が要注意人物としてマークしていたという。

 実行犯が、アルカイダやイスラム国など既存のテロ組織と、実際に接触があったのか、現時点では明らかでない。国際危機評価コンサルタント大手、IHSカントリーリスクのアリサ・ロックウッド欧州分析部長は「今回の事件を起こしたのは、イスラム過激思想に共鳴するフランス国内の人物たちである可能性が高いが、訓練などを通じて何らかの外国との関係を有する可能性はある」とみる。(パリ=吉田美智子、ロンドン=梅原季哉)