パリ=青田秀樹、吉田美智子
2015年1月9日01時07分
仏週刊新聞「シャルリー・エブド」で12人が殺害された襲撃事件で、捜査当局は3容疑者のうち18歳の男を拘束した。主犯格の容疑者2人は武装したまま逃亡を続けており、当局は指名手配して行方を追っている。8日朝はパリで新たな銃撃事件が起き、警官1人が死亡した。
新聞社の襲撃事件は、フランスでは過去40年で最大規模のテロとみられる惨劇で、8日は服喪の日となった。街には半旗が目立ち、国内は重苦しいムードに包まれている。
襲撃は5分間の出来事だった。捜査当局などによると、7日午前11時半ごろ、小型車が事務所が入るビルのそばに止まった。カラシニコフ銃などを持つ男が玄関にいた女性らを脅し、ドアの暗証番号を押させた。
1階で1人を射殺し、3階で行われていた編集会議に押し入った。欧米メディアによると、「神は偉大なり」と叫んで銃を乱射して記者や警官ら10人を殺害。車で逃走中にも警官を射殺した。犯行は計画的で、銃の扱いに慣れていたとみられている。負傷者も10人超だ。
主犯格とされるのがパリ出身のサイド・クアシ容疑者(34)と、シェリフ・クアシ容疑者(32)の兄弟。8日には、パリから北東に約60キロのガソリンスタンドで食料などを奪ったという。目出し帽姿が目撃され、ロケットランチャーを所持していたとの情報もある。当局は近くの民家などを捜索している。知人や近親者ら7人を拘束して取り調べをしている模様だ。
同紙は風刺が売り物で、イスラム教もしばしばとり上げる。昨年末には、「聖戦」に向かう若者の変化を、あざけるかのように描いていた。公式には確認されていないが、実行犯が「(国際テロ組織の)アルカイダの者だ」と主張したという情報を伝えるメディアもある。7日の犯行後、しばらく逃走してから乗り捨てた車からは「聖戦」を示す旗が見つかったという。
8日、パリには多くの半旗が掲げられ、正午には犠牲者を悼む黙禱(もくとう)がささげられた。
現場近くに住むドルフィヌ・アリーさん(50)は、白いバラの花束を持って現場を訪ねた。「フランス人は、団結して連帯を示す時だ。イスラム嫌悪にならぬよう、憎しみから抜け出さなければいけない」と話した。イスラム教徒の女性(40)は「イスラム教はこういうことを許す宗教ではない。フランス人は分かってくれるはず」と訴えた。
一方、8日朝にはパリ南部で警官2人が撃たれ、女性警官が死亡したという。新聞社の襲撃事件との関連は分かっていない。また7日夕から8日朝にかけて、イスラム教のモスクなどに銃弾が撃ち込まれるといった事件が、少なくとも3カ所で起きた。(パリ=青田秀樹、吉田美智子)
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朝日新聞国際報道部
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