ボンタイ

社会、文化、若者論といった論評のブログ

ファミコン世代は自分たちがアジアに負けている自覚を持て!

http://pds19.egloos.com/pds/201201/07/68/b0109168_4f07211f6c7b0.jpg마음의거리 : 광화문 교보문고 리뉴얼より引用

http://pic.pimg.tw/yeren/1323328233-2419304244_l.jpg【12月新書介紹】里斯本夜車 誠品敦南店文學光牆 @ 好野人 :: 痞客邦 PIXNET ::より引用

https://entengvince.files.wordpress.com/2012/02/page-one-00.jpg

Vivo City | eNTeNG c”,)™©'s MunchTime™©より引用

http://imagec.navi.com/images/templates/HONGKONG/1000563/70a53a97cefc7951_S.jpg

DYMOCKS[ダイモックス] | 香港ナビより引用

 上から韓国の「教保文庫」台湾の「誠品書店」香港の「恬墨書舎」シンガポールの「ページワン」のそれぞれの軒先にある新刊本の展示コーナーの様子だ。

 魅せ方もそれぞれ洗練されているが、置かれた本の装丁に目がいってしまう。想像力をかきたてるようなワクワクしてしまうものばかりだ。

 

 翻って日本はどうだろうか。

 ギトギトした書体でアジアの国や民族を悪しざまに罵ったり、逆に日本を自画自賛する書籍ばかり。デザインの美意識とか考えるつもりもない書籍が「遊び」を持たせることなくぎゅうぎゅうに敷き詰められている。「売れる本」を所せましに凝縮させ、売り切ればそれでいいという発想だが、本屋の店内の雰囲気はどこも悪くなっている。

 この手の本の筆者はファミコン世代に多い。ヘイトスピーチでおなじみのあの人や、高貴な血筋を売りにしているあそこの人、かつて嫌韓マンガで一世を風靡したあの人、2ちゃんねらーがそのまま経済評論家になったあの人など、枚挙にいとまがない。戦争を体験していないどころか、バブル全盛期もまともに謳歌していない世代が煽り立てるように戦前日本の素晴らしさを誇っているのは新手のブラックジョークのようだ。

 

 田舎の書店だけならまだいい。しかし現実には、東京駅周辺や新宿界隈のセンスのいい大型書店だったり、挙句の果てには羽田空港や成田空港の国際ターミナルの中にある書店すらもギッシリ山積みにされているのだから、外国人観光客はドン引きだろう。

 

 

 これが現実である。

 

 

 この手の本を書いたり、読んだりするような中年たちがアジアをいかに見下しても、私には、アジアの書店のほうがよっぽど文化的で豊かに見えるし、実際そうなのだ。

 ファミコン世代は自分たちがアジアに負けている自覚を持たなければいけないと、私は強く思っているのだが、その現実を認めたくないからネトウヨが増え、昭和バブル期を謳歌して豊かな生活・文化基盤を持っている1960年代生まれ以上の世代が高齢化して隅に追いやられるほど、日本はますます、急成長するアジアの裏で落ちぶれていく一方になる。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/00/HK_Sogo_Causeway_Bay_Store.jpg/800px-HK_Sogo_Causeway_Bay_Store.jpg?uselang=jaFile - Wikimedia Commonsより引用

 香港の最大の商業地区「銅鑼湾」の一等地には日本のデパート「そごう」があるという。日本語の看板までついている。開業したのは1985年と、バブルで豊かになった日本人が観光に訪れた際に買い物をするためのスポットだったことは想像に難くない。

 しかし、目抜き通りに面した巨大な壁画広告には、本来あるはずの日本企業は1つも存在していない。みな欧米のブランド物ばかりである。2000年に本家日本のそごうが経営破たんしてから現地企業のフライチャイザーによる運営が続いている。今のお客はみなお金持ちの香港人たちで、日本のデパートなのに日本の存在感はとても小さくなっている。

 

 日本国内で29店舗あったそごうはいま、9つしか残っていない。

 江戸時代に創業した土地にあった心斎橋本店は経営破たんとともに閉店した。2005年に今までよりも立派なビルを建てて「そごう再生のシンボル」として復活を試みたが、わずか4年で閉店となったそうだ。

 神奈川県民の私としては、立派なデパートの象徴が横浜そごうだったが、今ではワンフロアがロフトになっていたり、コンビニと同じセブンプレミアム商品を売っていたりと、劣化の様子が痛いほどわかる。スモールワールドの時計も老朽化を理由に廃止となったが、あからさまなコストカットである。でも店舗が残っているだけマシか。

 銀座の玄関口である有楽町駅前にあった「有楽町そごう」も東海道線で都心に出る時にワクワクするシンボルだったが、今では家電量販店のビックカメラである。日本は安っぽい国になってしまっているのだ。

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(筆者撮影)

 台北に訪れた時に驚いたのは、「そごう」がいくつもあったことだ。スモールワールド時計も香港ディズニーランドにスポンサーを移して健在だという。

 

 それよりさらに驚いたのは「台北101」のある市政府地区だ。整然と整備された道路に商業施設やビルが林立していて、雰囲気はみなとみらいそっくりなのだが、若者が皆「三越の紙袋」を提げていたことにビックリしたのだ。自分と同じ世代の、顔付きや服装のそっくりな子たちがみんな、あの白地に赤、紺、青の三紙袋を示し合わせたように持っているのだ。

 三越といえば、言わずと知れた日本のデパートの元祖である。日本橋本店の荘厳な建物を見ればその風格は誰しもわかるはずだ。庶民には縁のある店ではなく、親がお金持ちの知人から何かを貰ったりした時でないとわが家にこの紙袋がやってくることはなかった。そごうほどカジュアルに行けないそのためか、横浜からはだいぶ前に撤退してしまい、跡地はヨドバシカメラだ。そんな三越がここ台北ではサティみたいな感覚なのだ。

 市政府地区には三越が4館も存在している。ついでにいうと台北市内だけで合計9店舗存在し、全土をあわせれば18店舗もあるという。日本国内の店舗は平成時代だけで50近く失っていて、12店舗しか残っていないから、三越の本拠地は最早台湾かもしれない。

 

 そんな台湾三越の地盤の市政府地区では、三越よりも駅近の一等地には阪急百貨店が殴り込みをかけていて、梅田本店ソックリに模したエントランスが沢山の人を吸い込んでいた。阪急もまた例によって平成以降は店舗の閉店が続いていることを考えると、異国の地で日本のデパートが大型店をこぞって進出して張り合っている現実はなおさらシュールに見えてしまう。

 

 みなとみらいはハッキリ言って明らかに負けている。ランドマークタワーは2010年まで世界一高かった台北101より200mも低いわけで、海が存在することくらいしか強みはもはやない。というか、日本のデパート産業が全国的に低迷する一方で、台湾ではバブル期に進出した全土の店舗網を維持し、いまだに新規店の拡大や、新たなデパートの台湾進出が続いているのだから、日本の消費文化が台湾に負けていると言っても過言ではない。

 台北シンガポール・香港には、高級一流デパートやレクサスからサイゼリアダイソーに至るまで、無数の日本の消費文化が進出している。バンコックもまもなく追いつくだろうし、それどころかカンボジアビルマまでもがこの波に飲まれている。内戦の貧困とか、独裁政権の暗い時代が最近まで存在していた国が、急激にあか抜けている。売っている商品は日本と同じなのに、価格帯は円安地獄の日本よりもやたら高く設定してあり、それでも大勢の客でにぎわっていてバカみたいに売れている。

 ハブ空港も、ハブ港湾も、大型国際展示場も、東京よりも上回るものがある国はいくらでもある現実を、私たちは受け止めなければならないのだが、果たしていったいどれだけの人がそういう謙虚さを持てるだろうか。

 アジアの方が日本より豊かになっているのだ。

 「どうせ潤ってるのは都会の富豪層だけではないか」と言う指摘もできるかもしれないが、データはウソをつかない。平均所得ランキングではシンガポール、香港、台湾と日本は4番手。シンガポールは日本の2倍、香港は1.5倍の規模がある国連の豊かさ調査では韓国にも抜かれている

 

 シンガポール、香港、台湾、韓国・・・この4地域は「NIES」や「アジア四小龍」と呼ばれ、1980年代から急激に成長した地域だ。今のような繁栄は当時から推測ができたはずだが、私が生まれる前の日本人たちは、「日本こそがアジアで最も繁栄し進んだ名誉白人の国である構造はゆるぎないのだ」という風に戦前の植民地主義由来の精神を過信し、その結果が今だ。欧米有力企業やメディアはアジア拠点を東京からソウルやシンガポールや香港に移し、世界中を席巻した日本の家電や自動車たちはサムソンやヒョンデに取り換えられてしまった。 

  このネットユーザの言う通りだ。私がファミコン世代に着目したのは、彼らが文化的にはガラパゴスの第一歩だからである。

 政治家でいえば橋下市長から安倍晋三にかけての80年代バブルを堪能した中年世代たちの文化は、たとえばカッコいい車だったり、ブランドファッションだったりした。東京ディズニーランドの開園やアウトドアブームのように世界全体の流れに沿った欧米由来のものもある。そしてアジアから評価される日本があった。日本製の工業製品や、アイドル歌手のカセットが各国で売られたりしていたのだ。

 しかし、ファミコンをベースとする日本のゲーム文化にはそういう波及力はなかった。欧米のパソコンパッケージゲーム文化や、アジアのネトゲ文化の圏外の島国日本で醸成され、日本マニアの一部にしか到達していない。この現実を、中年たちはまるでわかっちゃいない。

 

 「サブカル」に逃げてしまっているのである。

 ファミコン世代の女性弁護士に「ふなっしー」が大好きな有名人がいる。法曹界と言う権威ある立場にいる人すら、そんなものである。

 ふなっしー氏のセルフマーケティングの実力はすごいと思うが、「ゆるキャラ」と言うサブカルの中で、そのまた異端児的存在であるこのキャラクターを、国営放送NHKが紅白などで引き合いに出して、大衆文化の中心軸に据えているのは、大きく間違っていることだ。

 本来ならネタとして楽しむようなサブカルが、ファミコン世代には中心軸になっている。主流的な表現文化の質の著しい劣化と言う現実あるいは「向上心からの逃げ」と、それでも自分は先進国日本の現代人であるという矛盾したワガママの帳尻を合わせるために都合がよかったのが、たとえば下らない一本道ゲームをもとにした自動車CMだの、肉まんや健康ドリンクだのである。子ども時代に見たアニメキャラにニヒルな芝居をさせたハイジのCMや、大人になったサザエさんドラえもんのCMを、大人になったつもりの中年たちがニヤつきながら見ているわけだ。子どもたちの夢が奪われることなどどうでもいいというような大人のワガママほど幼稚で呆れるものはない。

 ダイソンやルンバみたいな製品を1から作れない家電メーカーが、虚構新聞とかツイッターのフォロワーと慣れあってイロモノ商品を作る行為も自閉的な前期中年者たちの悪乗りにしか思えない。立派な大企業がそんなことやってる場合かよと突っ込みたくなるものだ。腐っても鯛と言う言葉はウソなんじゃないかと思ってしまう。

 

 そりゃあ韓国にも、アメリカにも、イギリスにも、イロモノ系のバンドの1つや2つあるだろう。ナンセンスなCMだってやってるだろう。でも、だからといって「主流」の質は保っている。

 イギリスBBCの番組はオフザケ大好きな「トップギア」だろうとMTVのリアリティショーの軽薄さではない上質な映像美があるし、スタイリッシュな時報カウントダウンとともに始まる「BBCワールドニュース」にはNHKニュースのようにテロップやCGや「春ちゃんのイラスト」をペタペタ貼るような下世話な演出はない。意識高い系オタクのアラサーアラフォーの好むNHKは、コミケを用いて政権の影響が指摘される大河ドラマの宣伝をするような汚いことをしているが、「プロジェクトX」や「NHKスペシャル」が素晴らしい放送をしていた頃までの、世界の放送文化の潮流を意識し、世界に通じる番組を沢山作っていた輝かしいNHKを殺したのは、匿名広報ツイッターの「中の人」の大喜利を楽しみながら匿名掲示板で番組実況をして暇をつぶすガラパゴス世代たちだろう。

 「主流」より「亜流」の低俗面を求め、それがいつの間にか中心軸に移り変わろうとしているという流れはまちづくりにも言える。アジアの地方都市ではバリバリ元気な三越やそごうが日本では地方から撤退し続けたという話をしたが、立派なデパートや由緒ある老舗店に満たされた中心街を失った地方都市でその代替物となっているのは、すき家ラウンドワンポルノ化した店舗にまみれた北関東文化圏の国道4号線的風景である。そごうではなくドン・キホーテが中心軸にある。東北や九州の地方都市は、せっかく唯一無二で固有の風情があったというのに、社会そのものが北関東の量産型ジャンクと化している。流暢な方言と伝統的な暮らしや文化を良く知った世代は死ぬ一方だ。

 

 ファミコン世代の文化的性質の極端な内向性は突き詰めれば突き詰めるほど、日本の劣化を招くだけであり、世界に恥を晒してしまうものだ。彼らはネトウヨが多いのだが、若者層からすれば「亡国の世代」に見える。日本国内でしか通じない現代の「一番都合が良くて手っ取り早い選択肢」だけをかき集めているうちに他の世代や外国から見れば恥ずかしいような体たらくを平気でやってのけ、バブル世代ほど洋楽を聴かず、平成生まれの女の子のように柔軟にK-POPに親しむこともしないし、かといって郷土の伝統にも親しまない。たとえ出世しても高い給料をデパートの文化資本ではなく「痛車改造」とかアイドルの追っかけにつぎ込んだりするからとにかく世界の常識からは浮いていて、とことんまでのガラパゴスの極みだ。

 こういう連中が今後は中間管理職となり、やがては社会の中枢神経を牛耳るのだとすれば、日本は確実にダメになると思う。

 だから大声で言いたい。

 ファミコン世代よ。自分たちがアジアに負けているという自覚を持て!