最大手セブン−イレブン・ジャパンをはじめコンビニエンスストアによる外食市場への侵食が止まらない。各社はチキン、コーヒー、ドーナツなどの新商品を店頭に相次いで投入、新たな需要の掘り起こしに力を入れる。店舗は合計5万店に上り、原則24時間営業するなど顧客との接点が多いだけに、「本家本元」の外食専業企業などはコンビニの勢力拡大にいらだちを隠せない。対抗するため商品開発力やブランド力に磨きをかけ、需要を喚起する。顧客の奪い合いが激しくなりそうだ。
「チキン、コーヒー…。コンビニは何でも投入してくる。店舗数も多く、脅威だ」
ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)を展開する日本KFCホールディングス(HD)の近藤正樹社長は昨年11月に開いた9月中間決算の発表会見でこう述べ、いらだちを見せた。
同社は9月中間決算で、最終損益が7300万円の赤字(前年同期は1億円の黒字)に転落した。消費税増税の影響に加え、コンビニとの競合が収益を悪化させたとみられる。
コンビニは2013年以降、新規需要開拓のため、それまで提供していたチキンの「本格化」「高級化」に着手。ファミリーマートは同年秋、スパイスやハーブなど11種類を使った「ファミマプレミアムチキン」(190円)を発売した。
この大ヒットを受け、ローソンは「黄金チキン」(185円)を投入。セブンイレブンは、低カロリーの「揚げ鶏」(170円)が健康志向を背景に売れ筋となっている。
対する日本KFCの「オリジナルチキン」は240円と少し割高。近藤社長は「(外国産が主力のコンビニと異なり)国産チキンを使い、油なども含めて素材にこだわっている」と品質の差を強調する。
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