日本のアニメや米ハリウッド映画などの動画に中国語字幕を付け、違法にアップロードする中国のアマチュア集団「字幕組」が注目を集めている。“字幕職人”たちを無償の翻訳作業に駆り立てているのは、海外の素晴らしい作品を同胞に見てほしいという純粋な思いで、日本文化を中国に浸透させている側面もあるが、著作権を侵害する違法行為であることに変わりはない。今後、中国の消費者に向けていかに正規コンテンツを届けられるかが日本側の課題となりそうだ。
字幕組の活動に参加しているのは社会人から高校生まで若者が中心で、時間に余裕のある大学生がかなりの割合を占めているとみられる。
その役割は主に3つ。まずオリジナルの動画を入手し、ファイル共有ソフトなどを使って違法にアップロードする「片源」。海外に居住する留学生が現地のテレビ番組を録画するケースが多いようだ。そして日本語などのせりふを聞き取り、専用ソフトを使って中国語の字幕にする「翻訳」。最後に、字幕の付いた動画をネット上に“放流”する「後期」だ。
字幕組は多数存在し、互いに翻訳のクオリティやスピードを競っている。日本で朝に放送されたアニメが、昼過ぎには中国語の字幕付きでアップロードされていることも珍しくないという。 翻訳のレベルは玉石混合だ。例えば数年前に中国の動画サイトに違法にアップロードされた高畑勲監督のアニメ「火垂るの墓」の字幕は誤訳だらけ。多くのせりふが関西弁で、翻訳者にとって難易度が高かったようだ。
ただ年々、字幕組の翻訳能力は向上しており、テレビの字幕放送の普及などもあって字幕の正確性は増している。
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