日銀生活意識アンケ:「ゆとりがなくなってきた」51%
毎日新聞 2015年01月08日 20時10分(最終更新 01月08日 23時32分)
日銀が8日発表した生活意識アンケート(昨年12月調査)によると、暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と答えた割合は前回9月調査から2.6ポイント増の51.1%となり、2012年12月調査以来、2年ぶりに半数を超えた。景況感が1年前に比べて「悪くなった」との回答も7.3ポイント増の38.8%。昨年4月の消費増税や円安を受けた物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、家計の負担感が増していることが影響しているとみられる。
暮らしにゆとりがなくなってきた理由(複数回答)は「物価の上昇」が71.1%、「収入の減少」が50.4%にのぼる。「ゆとりが出てきた」は0.5ポイント減の3.9%にとどまった。また、景況感が「良くなった」は5.2ポイント減の5.9%。「良くなった」から「悪くなった」の割合を引いた景況感指数はマイナス32.9で、12年12月調査以来、2年ぶりの大きなマイナス幅となった。
収入が1年前と比べて「減った」は40.8%で同1.6ポイント減ったものの、「増えた」(9.2%)を大きく上回った。物価が1年前に比べて「上がった」と感じているのは79.5%、1年後と5年後の物価も「上がる」が8割超と、賃金が伸びない中での物価上昇に対する警戒感の強さがうかがえる。
アベノミクスで企業業績や個人消費が上向き、景況感は12年12月調査を底に改善傾向にあった。しかし、今回の調査では、消費増税や急激な円安による輸入価格上昇を受けて、景況感は再び冷え込みつつある姿が浮かび上がった。
昨年11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は18カ月連続で上昇し、前年同月に比べて2.7%伸びた。給与総額が増えても、物価の値上がりを織り込んだ実質賃金は11月が同4.3%減と、17カ月連続で減少。雇用や大企業の冬のボーナスは改善しているが、恩恵が広がっているとは言えない状況だ。
原油価格の下落でガソリン代は下がっているものの、円安による原材料高騰などで食品の値上げが相次ぐ。1月からパスタや食用油、即席麺が値上げされたのに続き、2月にはレトルトカレー、3月に天ぷら粉やアイスクリームなどの値上げが続く。日銀は「物価高から生活にゆとりがなくなり、景況感の先行きにマイナスの影響が出てくる可能性がある」と指摘している。