仏週刊紙襲撃:逃走兄弟、パリ郊外に潜伏 特殊部隊追跡
毎日新聞 2015年01月08日 23時44分(最終更新 01月09日 03時39分)
【パリ宮川裕章、斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」のパリにある本社が襲撃され、12人が死亡した事件で、容疑者のうち逃走を続けていた兄弟2人が8日、パリの北東約60キロのクレピアンバロワ一帯に逃げ込み、治安当局の特殊部隊が約5キロ四方の範囲で捜索を進めている。仏紙フィガロ(電子版)が伝えた。兄弟はサイド・クアシ(34)とシェリフ・クアシ(32)の両容疑者。過激派組織に関与して過去に訴追され、テロ要注意人物として当局の監視対象になっていたことも判明した。
仏捜査当局は8日、兄弟の親族ら複数の関係者を拘束した。バルス首相が明らかにした。捜査当局は7日深夜(日本時間8日朝)に仏北部シャルルビルメジエールの警察に出頭したハミド・ムラド容疑者(18)を逮捕した。同容疑者はシェリフ容疑者の妻の弟で、襲撃を手助けしたとみられている。
AFP通信などによると、8日朝に兄弟とみられる武装した男がクレピアンバロワに隣接するビレコトレのガソリンスタンドに押し入り、食料品などを奪った後、車を捨てて徒歩で逃走した。2人は覆面姿で自動小銃やロケット砲のようなものを持っており、車内からはイスラム過激派の旗や火炎瓶が見つかった。
仏メディアによると、兄弟はパリでアルジェリア移民の両親の下に生まれ、幼少期に両親が死亡。弟は仏西部レンヌで過ごしていたが、兄との交流を続け、時期は不明だが、パリで一緒に住むようになった。
2005年1月、仏国内の過激派組織を捜査当局が解体した時、兄弟は組織に関与したとしてパリで逮捕された。家宅捜索で弟のシェリフ容疑者がシリア行きの航空券を所持していたことが判明、シリア経由でイラク入りし、対米テロ戦に参加する意図があったとされている。シェリフ容疑者は08年、フランス人をイラクのアルカイダ系分派組織に送り込んだとして執行猶予付き有罪判決を受けた。サイド容疑者は証拠不十分で無罪だった。当時の弁護士はフィガロ紙に「人生に迷った若者が過激派組織に出会い、自分にとって重要なものと考えてしまったのだろう」と語る。
一方、パリ南郊で8日、防弾チョッキを着た男が自動小銃で警官らに発砲、女性警官が死亡し、市職員が重傷を負った。男は逃走中で、乱射事件との関連は不明という。