みかじめ料:飲食店経営者が提訴 地裁豊橋支部
毎日新聞 2015年01月08日 20時01分(最終更新 01月08日 21時43分)
愛知県豊橋市に本拠を置く指定暴力団山口組系の3次団体の組員にみかじめ料を支払わされていた飲食店経営者の男性が8日、「暴力団の威力を背景に精神的苦痛を被った」などとして、山口組トップの篠田建市(通称・司忍)組長や傘下組織の組長らを相手取り、過去に支払ったみかじめ料など計3220万円の賠償を求める訴訟を名古屋地裁豊橋支部に起こした。
2008年の暴力団対策法改正で、指定暴力団トップに使用者責任を問える規定が盛り込まれた。みかじめ料をめぐって使用者責任を問う訴訟は、13年7月に名古屋市の飲食店経営の女性が篠田組長を相手取ったケースに続き、全国で2例目とみられる。
弁護団によると、男性は、10年以上前からみかじめ料を組員に支払わされていた。組員からの要求額は月100万円に上ることもあった。12年12月には月200万円を要求され、関係を断ったという。訴訟では08年1月から12年12月までに支払った約2420万円の返還を求めている。
男性は「最後は何のために働いているのかわからなくなった。裁判を通じて、同種の被害がなくなることを願う」と弁護団に話しているという。
弁護団長の渡辺一平弁護士は「暴力団は末端組員から上部組織へ利益が集められる。トップの責任を追及しなければ被害回復を図れない。結果として暴力団の資金源弱体化にもつながる」と話した。
組員は13年5月、男性に対する恐喝容疑で愛知県警に逮捕され、有罪判決を受けた。