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批判を上手に受け取って自分を向上させる方法
誰かが文句を言っているのを聞くのが好きな人はいません。しかし、どんなに隙を見せないようにしても、批判をされる時はそういう話を聞くことになります。
すべての人が批判に対して同じように対処している訳ではありません。批判を受け取るのがうまく、自分の仕事を向上させるために利用している人もいれば、ささいな批判的意見を聞くだけで、完全に打ちのめされてしまう人もいます。原文筆者の場合は、どんなことでも世間に批判されると、冷や汗をかいたり、赤面したりします(大人の反応じゃないというのは分かっているのですが)。
私の場合、主に在宅で仕事をしているので、世間の反応や評判を見る必要はありません。しかし、アイデアや記事を編集者にこき下ろされることもあり、頭に来るやら恥ずかしいやら、ということもあります。
どれくらい批判にうまく対処できるかに関わらず、ほどんとの人が、批判をされると自信を喪失したり、落ち込んだりします。脳は批判に対処するために多くのエネルギーを使うことになるので、他のことに集中することが難しくなり、生産性が下がります。
批判されている時の脳のはたらき
カリフォルニア大学サンディエゴ校の精神医学助教授のMartin Paulus博士によると、批判に対する感情的な反応や処理をつかさどる脳の領域は2つあり、へん桃体と内側前頭前皮質です。
へん桃体は、自分にとって重要なものを決めたり、情動記憶を形成したりするのに重要な役割を果たしています。一方、内側前頭前皮質は、批判のような感情的な刺激に対する反応を制御しています。
また、へん桃体は闘争心や恐怖心の大部分を担っているので、批判のようなネガティブな情報をかなりの脅威のように感じることがあるのはそのせいです。上司から悪い評価をされて死ぬことはありませんが、自分のキャリアや人生がお先真っ暗な気分にさせられます。
このような出来事は頭にこびりついて離れません。自分にとって有害になりうるものに対する認識の高まりは、ネガティブバイアス(否定的な先入観)と呼ばれます。嫌な出来事や経験が、良いことよりも頭にこびりつくことが多いのはそのせいです。
批判されて嫌な気分になるのは、ごく自然で避けられないことですが、それが生産性や幸せにとって驚くほど有害なものになりうるということは知っておきましょう。
批判へのよくある対処パターン
進化の過程で、批判を脅威のように感じるような先入観ができたにも関わらず、批判への対処の仕方は人によって違います。以下に、批判への対処法としてよくあるパターンをご紹介します。
飲み込む
内心激しく打ちのめされているにも関わらず、表面的には批判を受け入れているように見える人がいます。批判に対するこの手の反応をする人は、内心では自分を責めたり、自分につらく当たりすぎたりするのが特徴です。
自分を納得させる
飲み込むのに近いですが、自分を納得させる人は、とても個人的に批判を受け取ります。しかし、自分を責めるのではなく、批判した相手に矛先が向き、口で言い返すこともあります。攻撃的な発言はしないかもしれませんが、その批判は正しくないという批判によって自分自身を納得させながら、批判や否定的な意見に反抗しようとします。
防御する
批判も含め、外的な脅威から身を守ろうとするのは自然なことです。自己防衛タイプの人は、批判のような否定的な意見に対して、やんわりとでも身を守ろうとするような反応を示します。しかし、夜眠れなくなったり、前回よりも良かったと上司に反抗的になったりはしません。批判は見当違いなものだとか、そのままにしておこうと思うことが多いです。
追求する
批判に対して積極的に質問をすることで、批判をコントロールしようというやり方です。批判をされて落ち込むかもしれませんが、自分を責めたり、批判した相手を責めたりはしません。ただ単に、なぜそんなことを言うのか、どうやったら相手の発言を撤回できるかを知りたいのです。
批判のより良い対処法
上記の4つの対処法にすべての人が完全に当てはまることはないでしょうが、批判の対処法にどのようなものがあるかを知っておくと、批判にはどのように対処すればいいかという良い判断材料になると思います。
私の場合、批判的な発言にはそこまで影響を受けていないように見せかけて、実は飲み込んでしまうことが多いです。このことを知れば、批判への対処法を改善する余地があるかどうかが分かります。私がやっている、批判へのより良い対処法をいくつかご紹介しましょう。
1. 批判と自分を切り離して考える
批判を必要以上に個人的なものとして受け取る人は多いですが、それは間違いです。Paulus博士は、批判と自分の感情を切り離すことが大事だと言います。自分という人間自体を批判されたと思うのではなく、ある特定の行動や出来事、状況に対する意見だと考えましょう。
たとえば、ある人が「この記事は稚拙だ」と言ったとしたら、記事の著者に対する批判として見るのではなく、記事自体に対する批判として見ることが大事です。
すばらしいライターでも、できの悪い記事を書くことがあります。批判されることによって傷ついてしまう感情を切り離すことで、批判に対応しやすくなります。
批判を、自分自身に対してではなく、自分のやったことに対する意見だと思えるようになれば、批判を個人的に受け止めすぎることなく、すぐに気持ちを切り替えられるようになります。
2. 自由回答形式の質問をする
批判してきた人に質問をするのは重要です。その人の意見を聞いていることを示すことができるだけでなく、その人がその行動や出来事を、なぜそのように受け取ったのかを、より深く知ることもできます。
その理由を聞き出すには、自由回答形式の質問をするのが一番いいでしょう。「はい」か「いいえ」で答えられるような質問だと、積極的に新しい意見を聞くことができません。「次にこのような状況になった時は、私にどうして欲しいですか?」とか「今度はどのように対処した方がいいか、具体的に教えてもらえますか?」というような聞き方です。
自分に対する批判を使って、よりオープンで社会人らしい会話を進めることができます。会話が終わった後は友好関係になっているのが望ましいです。
3. 失敗をすべてが悪いことだと思わない
おかしなことを言っているように思われるかもしれませんが、実際に失敗は悪いものではありません。時間を無駄遣いするようなことや、評判を一気に落とすようなものは、「悪い」と結論づけてしまうこともあります。しかし、客観的に見れば、そのような出来事すべてが必ずしも悪いものではありません。
失敗や批判に対して嫌な気分になるのではなく、学ぶ機会だと受け止めるようにしましょう。何年もかけて習得した方法として、「後で失敗するよりも、今学んでおいた方がいい」とか「今は失敗したかもしれないけど、次は適切なやり方でできる」と考えるようにしています。
批判や失敗にも落胆しないようになれば、より前向きな気持ちになり、次に同じような状況になったとしてもうまく対処する準備ができます。
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私は、両親の子どもに対して言うものから、同僚が大人として言ってくれるものまで、批判も自分という人間に対して担う役割があると言えると思います。
ライターとしての経験では、ネガティブな意見の裏にはポジティブな意見も含まれていること、いわゆる釣りコメントをしている中には熱心な読者もいるということ、不運なことの中にも幸運があるということを学びました。否定的な意見に対して、落ち込むだけではもったいないです。
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Kayla Matthews(訳:的野裕子)
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