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パリの新聞社で銃撃戦に これまでに12人死亡
1月7日 23時38分

フランスのパリの新聞社の本社に武装した男らが押し入って銃を乱射し、これまでに記者や警察官など12人が死亡しました。
男らが現場からの逃走に使ったとみられる車が見つかり、警察は男らが車を乗り捨てて逃走を続けているとみて行方を追っています。

日本時間の7日午後7時半ごろ、フランス・パリにある新聞社「シャルリ・エブド」の本社に武装した男らが押し入って銃を乱射し、警察官と銃撃戦になりました。
フランスの警察によりますと、これまでに新聞社の記者や従業員など10人と警察官2人の合わせて12人が死亡し、けが人については当初発表していた人数を修正し、8人だとしています。
現地メディアによりますと、新聞社の近くにいた男性は「2人の黒いフードをかぶった男たちが自動小銃を持って新聞社のビルに入った。そして数分後に激しい銃声が聞こえた」と話しているということです。
またAFP通信が警察の話として伝えたところによりますと、襲撃した男たちは「預言者の敵討ちだ」と叫んでいたということです。
男らが現場から車に乗って逃走し、警察によりますと、新聞社から北東におよそ5キロ離れた場所で男らが逃走に使ったとみられる車が見つかりました。
フランスのカズヌーブ内相は会見で、事件には3人の男が関わっていて行方を捜していることを明らかにしました。
現地入りしたオランド大統領は「これはテロ行為だ」と述べ、犠牲者に哀悼の意を示しました。
そして、「自由を尊ぶフランスでは断じて受け入れられない行為だ」と述べて、捜査に全力を挙げるよう指示しました。
また、事件を受けてフランス政府はパリと周辺地域のテロ警戒レベルを最も高いレベルまで引き上げました。
シャルリ・エブドは、毎週水曜日に週1回発行される新聞で、時事問題を風刺をきかせた漫画や記事で伝えることで知られています。
7日に発売された最新号では「若者はジハードを好む」と題してイスラム教の聖戦を風刺する漫画が掲載されていました。

現場となった新聞社とは

乱射事件のあった新聞社「シャルリ・エブド」はパリの中心部にあります。
周辺には18世紀の建物が並び、美術館や博物館が多く、観光客が訪れる地区もあります。
時事問題を風刺をきかせた記事で伝えることで知られ、2006年2月、イスラム教の預言者ムハンマドを風刺する漫画を特集した際、イスラムの団体から「イスラム教への偏見を助長する動きだ」として非難を受けました。
また2011年11月には、中東の民主化運動「アラブの春」の特集を組み、イスラム教の預言者ムハンマドを紹介したうえで、「これで笑わなければ、むち打ちの刑だ」というせりふとともに風刺画を掲載しました。
週刊誌の発売直前にこの風刺画がホームページで紹介されると、新聞社には「イスラム教を侮辱する行為だ」として、さまざまな抗議や脅迫があり、火炎瓶が投げ込まれ建物の内部がほぼ全焼する事件もありました。
さらに2012年9月にもムハンマドの風刺画を掲載し、預言者の裸の姿のほか、「笑い飛ばそう」という見出しをつけ、週刊誌の責任者は笑うことの自由は法律で認められ、暴力によって止められないというメッセージを寄せました。
これに対しイスラムの団体から「イスラム教徒の感情を故意に害している」として強い非難を受けていました。

仏の最近のテロ事件

ヨーロッパでは、イスラム教の過激な思想に染まった人物が関与したとみられるテロ事件が起きています。
去年5月、フランス出身の男がベルギーのブリュッセルにある「ユダヤ博物館」で銃を発砲し、4人が死亡しました。
この男は、フランス南部のマルセイユで逮捕され、シリアで「イスラム国」の活動に参加していたことが分かっています。
また、おととし3月には、国際テロ組織アルカイダのメンバーを名乗る男がフランス南部のトゥールーズやその近郊でユダヤ系の子どもや兵士ら合わせて7人に対して発砲して殺害する事件が起きています。

英独の首相が事件を非難

今回の銃撃事件について、イギリスのキャメロン首相は7日、議会の党首討論の中で、「残忍な攻撃だ」と強く非難したうえで、「われわれはフランスの人々とともにあらゆるテロ行為に立ち向かうとともに、報道の自由と民主主義を守るため堂々と戦う。テロリストたちは、これらの価値を決してわれわれから奪い取ることはできない」と述べました。
またドイツのメルケル首相は声明を発表し、「今回の事件はフランスの市民の生命と安全に対する攻撃であるだけでなく、民主主義の根幹である報道と言論の自由への挑戦だ。この行為を断じて正当化することはできない」と述べました。

日本大使館が注意呼びかけへ

パリにある日本大使館によりますと、新聞社に対する銃撃事件の被害者の中に日本人が含まれているという情報は今のところありませんが、引き続き確認を続けているということです。
また犯人が現在も逃走中で、フランス政府がパリと周辺地域のテロ警戒レベルを最高レベルに引き上げたことなどから、フランスにいる日本人に向けて緊急のメールやホームページで事件についての情報を提供し、注意を呼びかけることにしています。

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