朝日新聞社:再生計画を発表 独立した報道点検など新制度

毎日新聞 2015年01月05日 20時45分(最終更新 01月06日 06時52分)

「信頼回復と再生のための行動計画」を発表し、記者会見する朝日新聞の渡辺雅隆社長=東京都中央区で2015年1月5日午後3時23分、丸山博撮影
「信頼回復と再生のための行動計画」を発表し、記者会見する朝日新聞の渡辺雅隆社長=東京都中央区で2015年1月5日午後3時23分、丸山博撮影

 過去の慰安婦報道や東京電力福島第1原発事故の「吉田調書」報道の取り消し問題を受け、朝日新聞社は5日、「信頼回復と再生のための行動計画」を発表した。編集部門から独立した立場で報道を点検する「パブリックエディター」制度の導入や、訂正記事をまとめて掲載するコーナーの新設などを柱としている。

 同社によると、パブリックエディターは「社内外の数人」で構成し、記事に寄せられた声を集め、編集部門に説明や改善を求める役割を担う。訂正記事を集めるコーナーは、記事の誤りをより丁寧に知らせることが目的。多様な主張を掲載する「フォーラム面」の新設も掲げた。いずれも今春に設けるという。記者会見した渡辺雅隆社長は「自分たちの主義主張に誘導するような(記事の)作り方はやめる」と、多様な見方を意識した記事を増やす方針を表明した。

 朝日新聞は昨年秋、一連の問題を踏まえた対応として社内外の委員計8人で構成する「信頼回復と再生のための委員会」を設置、改革について論議した。

 外部委員はジャーナリストの江川紹子氏、弁護士の国広正氏、日産自動車副会長の志賀俊之氏、社会学者の古市憲寿氏の4人で、行動計画とあわせてそれぞれ意見を公表した。国広氏は「朝日新聞の問題は、自らのストーリーに合う事実をつまみ食いし、不都合な事実から目をそらすフェアでない記事が大きな見出しで載る点」と指摘。古市氏は「一連の問題は、組織自体の経年劣化、人材の経年劣化がもたらした事態」との見解を示した。【青島顕、大迫麻記子】

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